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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第68話 再び夢の世界へ
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放ちながら、霊力で強化した右足で、脇をすり抜けようとした疫鬼の痘痕(あばた)に覆われた頭を粉砕。
 右足に嫌な感触と、奴らの構成物質の黒い染みを残して、一体の疫鬼が元の黒い影へと還る。

 その一瞬の後、俺の手から放たれた四枚の呪符が、それぞれ直径三十センチメートルほどの火球へと姿を変えた。

 呪符に籠められた霊気に因り活性化された炎の小さき精霊たちが宙空に舞い、
 燃え盛る四つの火球が光源となり、蒼き静寂の世界に沈むタバサの寝室を紅く照らし出し、明と暗を因り顕著に浮かび上がらせた。
 そう。俺の属する世界の()と、疫鬼が属する世界の()を。

 それぞれの火球が、俺の後ろに眠るタバサに(すが)り付こうとした疫鬼を吹き飛ばし、大気を揺らす衝撃波と、壁に黒い焦げを作り上げる。

 四方から掴み掛かって来る疫鬼の腕を、頬と、額に発生していた裂傷から発する紅い液体にて宙に、上から下への直線を描きながら身体を沈める事により頭上に躱し、その時の自らの目線の高さで蒼き光輝を一閃。
 自らの左と正面に存在する疫鬼を腰の辺りで両断した直後、上空から振り下ろされる二本の腕を左後方に後転を行う要領で辛うじて空を斬らせる。

 そう。今回の戦いも、例え指先一本で有ろうとも、奴らに触れられると非常に危険な結果を招きかねないリスクの高い戦い。
 無傷か、それとも死か。俺に取っては非常に不利な戦いを強いられている状態。

 何故ならば奴ら……。疫鬼に触れられた瞬間に、俺は末期の疫病患者と成る可能性が有ります。確かに、現在の俺は呪詛用の形代で護られているので、一度だけは無効化出来るとは思いますが、その一度は貴重な一度。簡単に消費して仕舞って良い物では有りませんから。

 後方への回転を行う瞬間、放たれる呪符。
 その瞬間、顕われる俺の姿をした分身。その数は三。

 新たに現れた彼らは剪紙鬼兵(せんしきへい)。但し、普段ならば十人以上実体化させる事も可能な剪紙鬼兵も、今回は戦場がタバサの寝室で有る事と、その他の部屋。タバサの身代わりを配置した部屋に湖の乙女や、俺の式神たちと共に配置されて居る為に、この部屋に割ける人数はどうしても少人数と成って仕舞うのは仕方がない。
 最初の剪紙鬼兵が疫鬼一体と相殺された瞬間、俺の右腕に裂傷が走った。
 しかし、その貴重な時間が自らの体勢を立て直す暇を与え、立ち上がった瞬間に雷公の腕を召喚する。

 光が虚空に弾け、轟音と共に床を揺らした。

 一瞬の光が疫鬼の顔を闇に浮かび上がらせ、その目の眩みが消え去る前に、不気味な水音にも似た響きを残して更に数体の疫鬼が姿を消した。
 このオルレアン屋敷。そして、このタバサの寝室自体にも、かなりの魔術的強化が施されている。
 但し、それも
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