暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
黒守黎慈の変化
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
こだわり故の暴言だった。

 まあ一日断食後に急激に食べても胃が傷むだけなんで、ある程度加減して食べよう。
 昨日の戦闘での運動量は中々のものだったが、身体のダメージも凄いので下手したらまた胃中の物を戻すことになる。

 ご飯が炊き上がるまで1時間弱はあるので、先に顔を洗いに洗面所へ向かう。

「そういや昨日は派手な夢見て、盛大にリバースしたんだったっけ」

 青年が心臓を素手で引き抜かれる凄惨な夢。出来ることなら思い出したくない。
 確かシチュエーション的にも、普通じゃ信じられないような場所とか相手だったはず。

 その後洗面所で盛大にやらかし、学校でも気分の悪さをずっと引きずったままだった。

「そういや今日は夢見なかったな……」

 精神防護とか相互不干渉の魔術とかで夢見を防ぐつもりだったが、さすがに昨日の状況ではそんな余裕もなく、俺は気絶するように眠ったはずだ。
 元々黒守の魔術の関係で、契約相手と同調しやすいというのもある。ただの夢とはいえ馬鹿にはできず、夢の中での出来事は現実でもいくらかの影響を与えることがある。

「昨日は特に夢見の対策を取ったわけでもないが、何か条件でもあるんだろうか」

 俗に夢見に分類される魔術は、肉体ではなく精神に訴えかける。

 俺が以前に見せられた淫夢もそうだし、記憶操作、精神摩耗による衰弱。
 中には夢での出来事を現実と誤認識させて、場合によっては死に追いやるような魔術も存在する。

 実際に術を掛けられたとしても現実の肉体に直接的な変化等はない。
 何を目的に夢見の魔術を使うにせよ、傍目から見れば表面上からは何も窺えないまま相手に干渉することができる。

 だから夢のせいで不調というのも、魔術的な考えからすればあながち有り得ないことじゃないんだが…………

 洗面所に辿り着いた俺は、軽い既視感を覚えながら洗面台の鏡を見つめていた。

「また、右眼が……」

 そこには昨日と同じく、鮮血のような深紅に染まった右眼があった。
 昨日は夢を見た直後の影響で錯覚したのだと片付けていたが、これは恐らく他に何かしらの要因がある。

 現に何度も目を擦っても洗っても、そこにある紅が消えることはない。

 痛みはない。視覚に変調もない。眼球そのものにも異常はなかった。

 色素欠乏? 赤血球の異常? 眼球内出血? 血液疾患?

 考えつくあらゆる可能性を考え、魔術で眼球を精査してみたがどれもハズレだ。
 どんな身体検査魔術を通しても眼球に異常無しという結果が出るのみで、右眼が突然紅くなってしまった原因は不明のまま。



 ──────黒守一族特有の変化だろうか。

 一定条件を満たすことで、肉体に一族としての証が顕れるといった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ