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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
黒守黎慈の変化
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そのまま負荷を掛け続ければ危ない状態だった。

 魔術補助を永続的に続けるなど不可能だし、治癒も傷が即座に再生するようなものではない。
 腕や肩によっぽどの衝撃が加わらない限り傷が悪化することもないので、日常生活における支障は特にないだろう。
 肩だけ無茶な稼働をしないように気をつけていれば、周りに不審に思われるようなことはないはずだ。

「学園の方はどうなったかね……しばらく登校禁止にでもなっていれば好都合なんだが」

 病院へ運ばれた大多数の生徒たちへのフォローと、一部損壊した校舎を修繕する時間を考えれば、最低でも1週間は学園閉鎖になる予想だ。
 あまりに期間が長いとそれはそれで大事になってしまうので、恐らく当たり障りのない理由付けをしてその程度の期間封鎖されるだけか。

 そのあたりは事後処理に関わったはずの凛に後で聞いてみるとして──────

「すげえ気分悪い…………」

 人が人ならざる力を行使する代償。魔術の使用、刻印の起動は術者に特有の苦痛を強いる。
 そうでなくとも傷の痛みや疲労で身体へのダメージは蓄積している。ここ最近連続した戦闘に、精神的に参っているのも無理はないと言える。

 だが、これはそれらとは別の問題。

 昨日俺は、友人である者の命を奪った。
 一瞬だった。何の躊躇もなかった。あっけなくヒト一人の命が俺の手で散っていった。










 争う理由はどうあれ、始まってしまえば相手の命までもを奪うのは魔術師ならおかしくはない。
 魔術という"凶器"を振りかざす以上、正当防衛は当然として逆に返り討ちに遭う可能性だってある。
 敵対する以上自身の破滅も承知の上であるはずで、それは暗黙の了解と言って差し支えない領域のルールとなっている。

 表向き存在するそのルールを守るために『殺す』というのは珍しくない。
 私情でそうした事態に陥った場合、一般周囲に悟られないようにする工作や死体の処理など面倒なことは多々ある。
 だが今は聖杯戦争という特殊な条件下であり、事後処理なども面倒を見てくれる状況だから都合がいいといえば都合はいい。

 今回においては、間桐慎二が魔術師としての掟を破ったから殺したという建前がある。

 しかしそれで友人を殺した事実に、何も思うことがないかと言われればそんなことはない────はずだろう、普通の人間であるならば。

 俺の胸中にはただ間桐慎二を屠った、友を手にかけたという結果だけが残っている。
 そのことに何の感傷も抱けず、感慨も残らず、感情が波立つことすらないのはどういうことか。

 両親が死んだ時も、曽祖父を手にかけた時も、昨日この手で友を殺めた時も。
 俺の心にはその相手に対する憐憫や哀悼、その一欠片すら
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