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オテロ
第二幕その一
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た。今それを一人哄笑しつつ語る。
「俺は信じるのだ、己の姿に似せて俺を創った無慈悲な神を。俺は怒りに任せてこの神を呼ぶのだ。俺は卑しく卑劣だ。何故なら」
 邪な言葉が続く。
「俺は人間だからだ。だから俺は極悪非道で残忍なのだ。俺はそれを教会に入る若後家が神を信じるように俺の中の悪を信じているのだ。そして」
 さらに言う。
「正義も正直者も嘲笑すべき道化だ。涙も接吻も眼差しも栄誉も」
 世の美徳を罵りだした。
「犠牲も何もかもが偽りだ。人は赤子から屍に至るまで邪悪な運命の戯れで他の者を散々笑い者にした挙句に死ぬ。それから」
 この言葉は。人の言葉ではなかった。
「死は何もない。天国なぞない。邪悪だけがあるのだ」
 こう語る。するとそこにカッシオが来た。するとすぐに悪魔の素顔を消してまた誠実な友人の仮面を被るのだった。その仮面でまた優しげにカッシオに声をかける。

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