序章 僕の選択
第三話 チュートリアル
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
かしこれはゲームの不具合ではない。繰り返す。これはゲームの不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』
「し...、仕様だと」
クラインさんが割れた声で呟く。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
この城の頂? ...えーと、頂、てことは頂上だよね?
でも、この始まりの町のどこに城があるの...?
...でも、今茅場晶彦は『自発的に』と言っていた。ということは、自発的じゃなくログアウトした場合はしょうがないってこと?
じゃあ、おばあちゃんが速くハズしてくれることを祈ろう。
でも、そんな生ぬるい僕の思ったことは次の茅場晶彦の言葉によって打ち消された。
『また、外部の人間による、ナーヴギアの停止または解除もあり得ない。もし、それが試みられた場合...』
そしてわずかな沈黙。
『...ナーヴギアの信号素子から発せられる高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
「...え!?」
脳を破壊する...つまりは殺す、と同じことだ。
ナーヴギアを解除したり、電源を落としたりしたら、それをつけているプレイヤーを殺す、と彼は宣言したのだ。
そして横にいたクラインからかすれた笑い声が混じる声が漏れた。
「はは...何言ってんだあいつ、おかしいんじゃねえのか。んなことできるわけねえ...ナーヴギアは...ただのゲーム機じゃねえか。脳を破壊するなんて...んな真似ができるわけがねえだろ。そうだろキリト!」
後半はかすれた叫び声だった。
ナーヴギアは、ヘルメット内部に埋め込まれた、無数の信号素子から微弱な電磁波を発生させ、脳細胞そのものに疑似的感覚信号を与えることができる。
まさに最先端ウルトラテクノロジーと言えるけど、原理的にはそれと全く同じ家電製品が、もう40年も昔から日本の家庭では使われているのだ。
...つまり、電子レンジが。
十分な出力があれば、ナーヴギアは僕たちの脳を細胞中の水分を高速振動させ、摩擦熱により、蒸し焼きにすることも可能だ。
...しかも、ナーヴギアの重さの3割はバッテリーセル。
出力として十分だ。
「...できるんだよ...クラインさん...ギアの重さはバッテリーセルが3割だから、普通に可能なんだ...」
僕が少し震えてしまった声でそう呟くと、うつろな表情で、クラインさんは叫んだ。
「無茶苦茶だろ...そんなの!瞬間停電でもあったらどうするんだよ!」
と、そんなクラインさんの声が聞こえたかのように、上空から茅場晶彦のアナウンスが再開された。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ