プロローグ
side???
「はぁ、はぁ、はぁ…………、まだまだ、っす!」
私は倒れそうになる体にムチをうち、もう一度立ち上がる。
一体何回失敗しただろう、もうすぐ日が暮れようとしていた。
目の前にあるのは私の血で書かれた魔法陣。
しかし、それは私の思いに応えてはくれなかった。
何がいけないのか、どこかを間違えたのか、私の足りない頭では分からない。
けれど、これだけは分かった。
「まだ、諦めるわけにはいかないっす!」
このままではキャスターが召喚されてしまう。
その前に私がキャスターを召喚する。
また失敗するかもしれない、だけど!
「私がやらなきゃ、誰も救えないっす!」
私はまた繰り返す。
大きく息を吸い、左手を前にかざす。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
「―――――Anfang」
「――――――告げる」
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
聖杯の守り手、私の英霊よ!
いいからさっさと私の所に来いっす!」
私の意思が通じたのか、それとも私のことを哀れと思った神様が奇跡を起こしたのか。
何かが光ったかと思うと、目の前に黒い服を着た英霊が姿を現す。
「問う、貴女が私のマスターなの?」
とてもこの世の者とは思えない美しい英霊が私に問いかける。
「まったく、来るのが遅いっすよ……」
一瞬、意識が飛びそうになるが、歯を食いしばって足に力を込め、なんとか意識を留まらせる。
「ちょっと! 大丈夫!?」
彼女が私のことを心配そうに尋ねてくる。
私はどうやら魔法陣を書くのに血を使いすぎたらしい、頭がくらくらする。
だけど、そんなことはどうでもいい。
「私が、あんたのマスターっす……」
やっと手に入れた力、例え彼女が最弱のサーヴァントだったとしても、これで私も聖杯戦争に参加できる。
あの理不尽な物語を変えることができる!
「了解しました、マイマスター」
彼女がそう言ったのを聞き届けた私は夢の中へと意識を落としていった。
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