第三十四話 眼鏡とヘッドホンその六
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「だからどうかしら」
「けれど何か悪いですよ」
「来ただけなのに」
「何言ってるのよ、お酒くれたじゃない」
その一升瓶は今は烏天狗達が持っている、彼等のうちの二人が一本ずつ抱く様にして持っている。
「そだからそのお礼よ」
「それで、ですか」
「私達にお茶を」
「お菓子もあるわよ」
にこりとしてこれも話に出す。
「もなかね」
「あっ、お菓子もですか」
「それももなかを」
「甘いものも好きなのよ」
茉莉也はこれも好物だというのだ。
「日本酒と一緒にやる位にね」
「それは遠慮したいですけれど」
「お礼でもですか」
「そう、じゃあいいわね」
茉莉也はにこりとして聖花と愛実にまた言った。
「そこで座敷わらしのこともお話しましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「そこで」
「では我等はだ」
烏天狗達も三人に言って来た、これまで黙っていたが話す頃合と見てそうしてきたのだ。
「この酒は神社の冷蔵庫か涼しい場所に置いておく」
「そうしておくからな」
「ええ、じゃあ今晩一緒に飲みましょう」
「うむ、楽しみにしておく」
「大天狗様にもお話しておく」
「それは羊羹と一緒に飲むわ」
酒と菓子の組み合わせを楽しむというのだ。
「そうするわ」
「そこでもそれですか」
「お酒とお菓子ですか」
愛実と聖花は今もこの組み合わせには眉を曇らせて突っ込みを入れる。
「よく食べられますね」
「本当に合うんですか?」
「私的にはね」
いけるとだ、茉莉也は心からいぶかしむ二人ににやりと笑って述べた。
「いいわよ」
「ですか、とにかくお茶ですね」
「それを飲みながら」
「ええ、お話しましょう」
こう話してそうしてだった、二人は茉莉也に境内に案内されてそのうえで抹茶を馳走になった。そしてもなかも食べながら話をした。
境内の中で三人で車座になって話す、茉莉也は巫女の姿に着替えておりその格好で二人に対して言うのだ。
「さっきも言ったけれど座敷わらしは私達には見えないわ」
「それは、ですね」
「無理なんですね」
「声も聞こえないわよ」
これも無理だというのだ。
「本当に子供だけなのよ」
「子供だけが見える妖怪なんですね」
「それだけはどうしようもないんですね」
「何かね、東北の話だとね」
茉莉也は腕を組んでこんな話もした。
「大人でも見たって話があるけれどね」
「えっ、あるんですか!?」
「座敷わらしでもですか」
「そう、あることにはあるのよ」
驚く二人にこう話す。
「実際にね、ただこれは座敷わらしによるみたいで」
「この学園にいる座敷わらしはですか」
「見られないんですね、大人は」
「そう、ここの座敷わらしは見られないわ」
このことがまた確認された。
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