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オテロ
第四幕その四
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「オテロの旅は終わったのです」
 そう彼に告げると静かにデズデモーナのところに歩み寄った。苦渋に満ちた顔で妻の死に顔を見ている。
「何と蒼ざめていることか。疲れてもの言わず美しくそれでいて不運の星の下に生まれた女よ」
 妻へのことアだった。
「清らかな女。汚れのないその生涯の様に冷たく天に昇る女、デズデモーナよ」
 そう妻の亡骸に告げると。懐から剣を出した。皆が止める間もなくその剣を己の胸に突き刺すのだった。
「閣下!」
「何故!」
「言った筈。わしの旅は終わった」
 ベッドに倒れ込む。その中での言葉だった。
「デズデモーナ」
 前にいる妻び呼び掛ける。
「最期に口付けをしたな。今また再び、わしの最期に・・・・・・」
 何とか妻に近寄ろうとするがそこで力尽きた。ロドヴィーゴがその彼のところに歩み寄り自分の手でその目を閉じさせオテロとデズデモーナの手を握り合わさせた。人々はその二人の亡骸を囲んで静かに胸で十字を切るのだった。二人の魂の鎮魂に。


オテロ   完


                  2008・4・10

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