一章 四話 とある妖精の激昂
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が留める。
「何でこんなことするんですか?」
それは、今日この場のみのことというよりは、”罪人殺し”としての俺に聞いているようだった。
「んー、なぜなら、そこにレッドがいるから」
「ふざけないでください」
うん、もう一回ふざけたら短剣が飛んできそうだ。
よし、出来る限りの真面目な顔を・・・・・
「・・・・昔、レッドに大切な人を殺された」
思いがけずひび割れた声が出て、自分でも驚く。
「まだ小さくて、無邪気で、何も知らなかったのに・・・面白半分に、殺されたんだ!」
ああ、何でだろう。手のひらに爪が刺さって・・・・
クソ、そんな同情したような顔してんじゃねーよ。
「だから俺はレッドを殺すと決めた。目についた奴は全員。・・・奴等がやったように、面白半分になぁ!」
「だったらッ!」
蒼づくしの少女が叫んだ。
「だったらあなたはこの人達を殺しちゃいけなかった!この人達は・・・・!大切な人を失って、寂しかったんでしょう!?苦しかったんでしょう!?なら・・・」
「分かったような口きいてんじゃねえよ!!」
あー、何苛ついてんだ、俺。もっとクールに、いつもおどけてんのが俺のキャラだろが。
・・・けど、たまには衝動に身をまかせてみるのも悪くない・・・か。
「俺はもう昔の俺じゃねえんだ!もう、レッドを殺すくらい、何の抵抗もねーんだよ!」
「じゃあ、何でそんなにつらそうなんですか!」
ああ、いちいち勘にさわる。
・・・あ、良いこと思いついた。
多分この少女を激昂させることになるだろうが。
てか、俺、本格的にただの人殺しかもしれん。
「何を・・・?」
気絶した男の方へ歩いていく俺に、蒼の少女が疑問の声をあげる。
尋常じゃない空気を感じたのだろう。
「へッ」
俺はもう何も言わない。何でこんなことをしているのかも分からない。
思考停止状態のまま、剣を抜く。
それを軽く握った手を、男の真上に。もちろん刃は下。
「やめっ・・・!」
蒼いのが叫んでいるが、気にしない。
手を開いたら、剣はまっすぐ落ちていった。
サクッ、と。
音をたてて、剣は男に刺さる。
鈍く光る刃が、残っていた男のHPを消滅させた。
「は、はは、はははははは・・・・・は?」
放心したように笑っていた俺は、背筋に冷たいものを感じ、先ほどまでとは比べ物にならないプレッシャーの方向を恐る恐る向く。
一迅の蒼い風がふいた。
首を的確に狙った光速の突きを、足の力を抜いて、尻餅をつく形でなんとかかわす。
「ヒ、ヒィ」
自分のものとは思えない情けない悲鳴をあげつつ、慌て剣を拾う。
その間にも剣撃の嵐が俺を削っている。
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