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我が剣は愛する者の為に
強者の在り方
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方不明者が出ている。
 ちょうど、後ろに立っている男達四人もそうだな。」

虚ろな目をして立っている男達に視線を向ける。
同じだ。
賊を討伐しに行った時に対峙した賊達と。

「そして、これが決定的な根拠だ。
 連日、賊による被害。
 これはこの城を中心とした周囲数里離れた街や村に対してしか被害が出ていない。
 洛陽やかなり離れた地域ではこのような被害が出ていないそうだ。」

華琳に地図を貸してもらい、被害の地域を分布図で表した時、被害範囲の形がこの城を中心に円ができた。
華琳の知り合いで範囲から外れている州牧に聞いた所、それほどの数の被害は受けていないと言う答えが返ってきた。

「だが、疑問が残った。
 いくら賊と繋がっていても、討伐されれば数は減る。
 兵士を代用するわけにはいかないのに、こうも断続的に賊の被害を出す事ができるのかずっと疑問だった。
 それも今、分かった。」

刀の剣先を苑意が持っている黒い水晶玉に向ける。

「その水晶玉は対象の氣を封じ込み、操る力を持っている。
 胡蝶から氣を奪っているのが分かった。
 水晶玉を利用して、拉致した村人たちを賊に変装させ襲わせていたんだな。」

刀を握る力が強くなる。
昨日、村を襲った賊達。
あれもおそらくは洗脳された村人なのだろう。
知らなかったとはいえ、罪のない村人を殺した事を知り罪悪感が縁を襲う。
彼らの罪滅ぼしとして、この馬鹿げた騒動を終わらせる。

「他の村を襲ったのは物資の略奪と戦力強化といったところか。
 この本には昨日、密かに運搬した資材についての細かい詳細が書かれている。」

一冊の本を見せ、苑意の顔色が確かに苦いものへ変わった。

「ふっ、だからどうした!
 お前が私がやってきた事をあばいた所で誰が信じる!」

「認めるんだな、辺りで起こっている騒動の黒幕はお前だと?」

「そうだとも、私が考え、兵達に指示した!
 私は強者だ!
 弱者の物を奪って何が悪い!?
 それを使ってより高みへ行こうとすることの何が悪い!?
 弱者である民は私に寄生し、政策が悪ければ不平不満を漏らす!
 私が奴らを生かしてやっているのを忘れてな!!
 だからこそ、私は強者である特権を使い、支配する!」

「苑意様、それ以上は。」

雲流が止めに入るがもう遅かった。
縁はニヤリ、と笑みを浮かべる。
その時、入り口の扉が開いた。
苑意達はその方に視線を送り、入ってきた人物を見て眼を見開いた。

「何故だ・・・・なぜ貴様がここに居る・・・・曹操ッ!!」

入ってきたのは左右に春蘭、秋蘭を引き連れた華琳だった。

「縁から貴方の悪事をあばくから証人になってくれと言われてね。
 昨日の夜に早馬でこちら
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