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我が剣は愛する者の為に
強者の在り方
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べ終わってからずっと起きていたのだが、来る気配がない。
胡蝶に頼んだ頼みは、離れの侵入調査。
間諜から大体の監視兵の数は聞いているから、侵入するのは難しい。
なので無理はするな、とは言ってある。
あいつが朝になっても来ないということは、何かあったのは間違いない。

「ともかく探しに行くか。」

最悪、離れに侵入しないといけなくなるが問題ない。
大事な仲間がそこにいるのなら。
俺は部屋を出ようと扉に近づくが、外から扉が開けれる。
胡蝶か、と思ったが入ってきたのは雲流だった。

「関忠殿に報告したい事があってな。」

「手短に頼む。」

「司馬懿殿についての報告だ。」

司馬懿、という名前に少し動揺したが表には出さない。

「苑意様から曹操殿に早馬で頼みたい事があってな。
 当初は関忠殿に頼む予定だったが、司馬懿殿に偶然会って、彼女に話すと快く引き受けてくれた。
 昨日の夜には司馬懿殿は城から出発している。」

雲流の発言を聞いて、憶測が確定へと繋がった。
こいつらは胡蝶を捕まえている。
昨日の夜に離れに忍び込もうとしていた胡蝶を捕まえれば、必然と俺が指示を出したということに気づく筈だ。
例え出してないにしろ、俺の部下であるのだから問い詰めてもおかしくはない。
なのに、雲流は何食わぬ顔で胡蝶が昨日の夜に城を出たというあからさまな嘘を俺に言った。
彼はこう言っている。
見捨てろ、と。
この嘘をわざと信じて自分の城へ戻れ、と。
そうすれば胡蝶の一件はナシにするつもりでいる。
何が目的なのか全く読めない。
沈黙が続き、睨み合うこと数十秒。

「・・・・・・そうか。
 なら、俺達も隊を纏めて城に戻るとする。」

返事を聞いた雲流はほんの少しだけだが、軽蔑を籠った視線を向けて軽く息を吐く。
何も言葉をかわさず、部屋を出て兵士を集め、隊を組んだ。
特に見送りもなく、さっさと街を出て華琳の居る街へと戻るのだった。




雲一つなく満月が綺麗に輝く夜。
苑意の城にある離れでは十人の兵士、眼が虚ろの屈強な男達四人と雲流に苑意、そして捕まった胡蝶が広間に集まっていた。
胡蝶は神経毒を定期的に与えられ、未だに身動きができない状況。
苑意は黒い水晶玉を持ちながら、唇を歪める。

「今日と言う今日をどれだけ待ち望んだか。
 一人もやる事なく、体調は万全だ。
 ぐふふ、これが成功すればさらに戦力が強化される。」

これからする事に楽しみにいていたのか、興奮を隠せずにいられない。
そんな中、雲流はしゃがみ胡蝶の耳元で囁く。

「関忠殿は、曹操殿の城に戻っていった。
 つまり、お前を見捨てたのだ。」

簡潔でシンプルな言葉を投げかける。
胡蝶は絶望に打ちひしがれた顔で
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