1 悪徳商法、俺は悪徳商法を見たbyエギル
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でしたか?」
「聞いてくれよシラ!」
そこへ中年のオッサンと言うべきか。この店の店主、エギルが口を挟んできた。
「キリトのやつはな、ラグーラビットの肉取ってきたんだ!」
「ラグーラビットですか」
シラは驚いたように目を見開いた。そのまま続きを促す。
「それでだな、あまつさえアスナに料理を頼んで俺には一口もくれる気がねえんだよ」
「なるほど。それで先程まで騒いでいた訳ですか」
納得がいったとシラは頷く。
そこでキリトは迷うような素振りを見せ、それから口を開いた。
「それでさ、シラにはいつも世話になってるから――来るか?」
「俺には世話になってないって言うか!」
「キリトも意地悪ですね」
エギルは叫び、シラは笑みを更に深くした。
そして言葉を続ける。
「ならお言葉に甘えてアスナさんに調理を頼みましょうか」
「あ、シラてめぇ!お前も抜け駆けか!」
もはや半狂乱になり店を吹き飛ばしてしまいそうな勢いのエギルにシラはいえいえと首を振る。
「エギルさんも一緒に如何ですか?」
「本当か!?」
「おいシラ……ラグーラビットの価値分かってるよな?」
嫌そうな声をあげるキリト。それはそうだろう。三分の一にするかで迷ったのだ。四分の一は流石に少ない。
「大丈夫です。キリトのラグーラビットを取るなんて言ってないじゃないですか」
「え」
「おい、まさか」
一転いたずらっ子のような顔をし出したシラにエギルはまさかという。想像できるのは一つしかなかった。
「私もラグーラビットの肉、持ってますから」
「やっぱりか!」
「……マジか」
「美しい……美しい……」
エギルは別の意味で半狂乱。キリトは頭を抱え、アスナは未だ再起動叶わず。
シラは子供のように笑った。
――――――――――――
「まさかラグーラビットが一日に二つ肉落とすとはな」
「もう二度とないだろうな」
「そうねぇ……本当に奇跡」
さて、所変わりアスナ宅。
ちょうど、贅沢にラグーラビットの肉を二つ使ったシチューを食べ終えたところ。
各々満足し、夢見心地でそう会話する。
「シラには感謝だな。次の商談じゃ二割くらい付けさせてもらうぜ」
「それは嬉しいですね。ありがとうございます」
「もしかしてエギルさんを誘ったのってこのため?」
「ばれましたか」
シラも笑顔が明るい。やはり食べ物の力は偉大である。
そんな人物を眺めながらアスナは食器を片付けながらそういえばと続ける。
「あの魔術師さんが私の家に来ることになるなんて」
「あの、と呼ばれる程ではないですよ」
「シラは十分あの呼ばわりされるよ」
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