暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
無印編 破壊者、魔法と出会う
無印〜A's 空白期
22話:男子小学生と文学少女
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、俺は戦慄する。…今……なんと言った…?
「その本はやな、とある人の名言が解説付きで載せられた本なんや。これが色々役に立ったり、心に残ったりおもしろいんよ」
「…へ、へぇ〜…そんな本、あったんだ〜…」
「?大丈夫か?変な汗出とるけど?」
「ん、まぁ…大丈夫、だと思う…」
うん、本当は大丈夫なんかじゃない。
なんで『天道語録』がこの世界に存在するんだ?まさか俺が世界に存在することでできた、所謂イレギュラーだというのか?ていうか、本がイレギュラーとか……
「まぁそれは今度借りてみるかな」
「そうなん?…ん〜…ほな、あたしはこれで失礼させてもらおうかな?」
「今雨だぞ?誰か迎えにくるのか?」
さすがにこの大雨の中、車いすの少女一人で自宅まで帰れるとは思えない。家族の誰かが迎えに来るのだろうと、俺はふんでいた。
しかしそれとは裏腹に、彼女は先程まで見せていた笑顔に影を落とした。
「……ううん。誰も来ぃひんよ」
「?誰もって…」
まさか、と思ったが、八神の顔がそうだと語っているようだった。
「私には…家族がいないんよ。だから、迎えなんか来ぃひんよ」
「………」
その一言は、俺の胸を抉るように体に染み渡った。
この年にして、家で一人。それはもう、計り知れない何かが、彼女にある筈だ。だが、彼女はそれをどこか隠すように、俺に振る舞っている。
「……それじゃ、私はこれで」
「っ、待て!」
八神はそういうとせっせと手を動かし、車いすを動かす。俺は慌てて車いすの後ろにあるハンドルを掴み止める。
「わわっ!?な、なんや!?」
「俺が送ってく!丁度傘持ってるし!」
「い、いいよ、そんなん!門寺君に悪いし!折りたたみ傘持ってるし!」
「それじゃ動きにくいだろ!俺の事はいいから!ここで会って、同じ常連の仲だ。俺自身別に用事がある訳じゃないし、送るぐらいなら大丈夫だから!」
俺は車いすの正面にまわり、八神の顔をまっすぐ見る。どこか寂しげな目が俺の言葉で少しばかり大きくなり、その後顔が俯く。
「……わかったわ。それじゃあ、頼んでもええやろか?」
「いいって言ってるだろ?遠慮すんな」
そして八神は顔を上げ、笑顔を見せながらそう言う。俺もそれを受け、笑みをこぼす。
「じゃ、本戻してくるから待ってろ」
「う、うん…」
そう言って俺は本を持って本棚へ向かう。
「それにしても…まったく酷い雨だな」
「そうやなぁ……てか肩濡れてへんか?」
「これぐらいどうってことねぇよ」
俺はそう言って折り畳み傘を持ち帰る。前で車いすに座る八神の両手には、少し大きめの傘が握られている。
まぁ、普通に言えば
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