第九章 双月の舞踏会
第一話 朝食会
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を両手で隠して縮こまってしまった。
亀のように丸くなったロングビルを、ティファニアが必死に励ましているが、励ませば励ますほど亀は強固に甲羅に閉じこもってしまう。
すっかり甲羅に閉じこもってしまった亀を士郎が苦笑いを浮かべながら見つめていると、いつの間にやら近くに寄ってきたルイズが、亀になったロングビルを見ながらポツリと呟いた。
「―――そして、フーケでもあると」
繋がりのない言葉であったが、その意味が分からない者はその場にはいなかった。
「ミス・ロングビル……いえ、ミス・マチルダがあのフーケなんですか?」
ルイズと同じく何時の間にか隣に座っていたシエスタからの含みを持った視線を受けた士郎が、逃げるように顔をずらすが、
「観念して話したら。もう、みんな気付いているわよ」
逃げた先には同じく含みを持った視線を投げかけるキュルケの姿があった。
「はぁ……まぁ、そういうことだ」
「……そっか」
「あの『土くれのフーケ』がミス・マチルダだったなんて……ん〜……あれ? あんまり違和感がない?」
「まっ、あたしは薄々気付いていたけどね」
「あんまり驚いていないみたいだな。マチルダがあの『土くれのフーケ』だということに」
誰も驚く様子を見せないことに士郎が首を傾げると、ルイズたちは少し甲羅から顔を出してきたロングビルを見つめながら、
「「「別に、気にするようなことじゃないじゃない」でもありませんし」じゃないからね」
笑いながら囁いた。
「「「で、この二人の金髪の子との関係を詳しく教えてくれる?」」」
「―――っう」
何故か恐怖を覚える笑みを浮かべるルイズたちから逃げるように後ずさる士郎の背中に、コツンと硬い何かが当たり振り返ると、
「私もこの者たちと、シロウとの関係を詳しく教えてもらってもいいですか?」
デュランダルが収められた鞘を握るセイバーの姿が。
「……はぁ―――なんでさ」
思わず空を仰いだ士郎の視線の先には、涙が出るほど澄み渡った青い空が広がっていた。
「全く……分からない男だな」
ティファニアの家の軒下に腰を下ろしたアニエスが、ぎゃあぎゃあと騒がしい一団を眺めながらポツリと呟いた。
ここ最近で飛躍的に危機察知能力を高めたアニエスは、セイバーが食事を終えた辺りで漂いだした不穏な空気を敏感に察し、一人ティファニアの家の軒下に逃げ出していたのだ。
視線の先では、四人の少女に囲まれた士郎が空を仰いで乾いた笑みを浮かべている。
その姿に昨夜の獅子奮迅の活躍の面影は欠片も見えない。
だが、この男が七万の軍勢を打倒する化物じみた力を持っている
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