第九章 双月の舞踏会
第一話 朝食会
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たように険しい顔でセイバーを睨みつけた。
「っ、そ、それは、私はシロウの、その、古い知り合いですから、その……気になるんです」
ぷいっとそっぽを向くセイバー。
明後日の方向を向くセイバーの頬が、赤く染まっていることに気付かない者は、(士郎を除き)気付かない者はいなかった。
「ふ〜ん……古い知り合いだから……ねぇ……」
「っな、何ですかっ! 何か言いたいことでもあるんですかっ!!」
「「「「別にぃ」」」」
真っ赤な顔で立ち上がるセイバーに、含み笑いが混じる四つの視線が突き刺さる。
「くっ。そ、それでっ! あなたたちはシロウの何なんですかっ!!」
「シロウからある程度は聞いてるんでしょ。シロウは何て?」
「……命の恩人で、世話になっていると……」
「命の恩人で―――」
「「「―――世話になっているねぇ」」」
その場にいる全員の視線が一斉に士郎に向けられる。
「な、なんだ? 嘘は言っていない筈だが」
「確かに嘘は言ってないわね」
ニンマリと歪ませた唇に細い指先を当てたキュルケの何かを含んだ言葉に、士郎の全身から一気に嫌な汗が吹き出た。
責めるような視線を受ける士郎は、脂汗で濡れる顔に苦笑いを浮かべながら必死に頭を働かせる。しかし、どれだけ頭を回しても、ここまで責めるような視線を向けられる理由が浮かばない。
どんどんと顔の歪みが深くなる様子に、士郎に向けられる視線が弱まる。
「ま、シロウの言っていることは間違いじゃないわね。もちろん、それだけじゃないけど」
「まあね」
キュルケに視線を向けられたルイズは、得意気にニヤリとした笑顔をセイバーに向けた。
「っく」
悔しげにセイバーが歯噛みする。
「それだけじゃないとは、一体どういうこ―――」
「はいはい、もう少し落ち着きましょう。はい、アルトお茶ですよ。皆さんもどうぞ」
声に苛立ちが混じりだしたセイバーの機先を制するように、横手にティファニアがお茶を持った手を差し出した。
食事が一段落したことから、ティファニアは一旦家の中に戻り全員分のお茶を持ってきたのだ。
お盆に乗せたお茶が入ったカップをそれぞれ全員に配り終えたティファニアは、セイバーの隣に座ると、膝に上に乗せた自分の分のお茶が入ったカップを両手で持ち上げ。
「―――それで、お話は終わったの?」
セイバーの顔を覗き込んだ。
「まだです。……身内の話しのようなものですので、ティファニアは家の中に戻っていてください。子供たちもそろそろ目を覚ます頃ですし」
「う〜ん……そうしたいのはやまやまなんだけど……実はわたしも聞きたいことが」
小首を傾げながら、振り返るティファニア。
「? どうしました
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