第九章 双月の舞踏会
第一話 朝食会
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が部屋の隅で俯いて固まっているティファニアに向けられる。
ティファニアはビクリと身体を震わせると、家の中にも関わらず頭に被った大きな帽子の端をギュッと握り締め身体を小さく縮こませた。
「テファ。すみませんが少し席を外してもらっても構いませんか?」
「え、あ、うん。それは構わないけど……でも」
戸惑うティファニアの視線がチラリと正座する士郎に向けられる。
士郎が目で『行かないでくれ』と懇願するが、
「安心して下さい。命は保証します」
「あ、安心できないよ」
笑いかけてくるセイバーに、ティファニアは頬をヒクつかせる。助けを求める視線を向ける士郎と、細めた目から鋭い光りを輝かせるセイバーを交互に見比べたティファニアは、覚悟を決めたようにキッと顔を上げる。
そしてセイバーに顔を向けると、
「床は汚さないでね」
どこまで本気か分からないことを口にしたティファニアは悲しげに目を伏せながら、絶望の表情を浮かべる士郎から逃げるように居間から逃げ出す。
バタンと大きく音を立てて閉まった扉の音が、居間の中から消え去ると、セイバーが唖然と口を開けたルイズに話しかけた。
「さて、それでは詳しい話しを聞かせてもらいましょうか」
「く、詳しい話しって……そもそもあなたは誰なのよ?」
じりっと後退しながらルイズがセイバーに指を突きつける。
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。少し性急すぎましたか。私はアルトリア・ペンドラゴン。シロウの、そう……古い……知り合いです」
「知り合い? ふ〜ん……知り合いねぇ……」
口の中で転がすように、『知り合い』という言葉を何度もブツブツと呟くルイズ。半目でジロリとセイバーを睨み付けると、次に士郎を見下ろした。正座を続ける士郎に視線が集中する。
向けられる視線は四つ。
ルイズとシエスタ、キュルケとロングビルの計四つであった。
士郎は視線に押されるように、肩を縮こませ小さくなっていく。
「どんな知り合い何だか」
「私とシロウがどんな関係かは今はそれこそ関係ありません。先程も言った通り、私はある程度あなたたちの事情は知っていますが、それもある程度までです、全てではありません。昨日はアニエスに止められたので、聞くことが出来ませんでしたが、今は流石に邪魔は―――」
「……死にたくないからな」
セイバーの視線が向けられると、アニエスは背を預けた壁に後頭部を当て嘆息した。
「……いくらシロウの古い知り合いだからって、教えられないことはあるわよ」
「どうしても、ですか」
ジロリと鋭い視線がルイズに突き刺さる。
ごくりと喉を鳴らし、一歩下がるルイズの後ろから溜め息混じりの声が上がる。
「と言うかあんたは何が聞きたいんだい?」
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