序章 僕の選択
第二話 ログアウト不可能!?
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の《ギア》を取ろうとしているのだろう、額に手を触れるクラインさんに僕は静かに言った。
「できないよ。どっちも...。僕たちは今、生身の...現実の体は動かせないんだ。《ナーヴギア》が、僕たちの脳から体に向かって出力される命令を、全部ここで...」
そこで一旦止め、自分の指先で、後頭部のした、延髄の部分をとん、と叩く。
「...インタラプトして、このアバターを動かす信号に変換しているんだから...」
クラインさんが押し黙り、のろのろと手を下ろした。
「...じゃあ、結局のところ、このバグが直るか、向こうで誰かが頭からギアをはずしてくれるまで待つしかねえってことかよ」
茫然とした感じでクラインさんが呟く。
僕はこくり、と頷いた。
「でもオレ、一人暮らしだぜ? 二人は?」
「僕も一人暮らしだよ...」
「母親と妹と3人。だから夕飯になっても降りてこなかったら、強制的にダイブ解除されると思うんだけど...」
と、そこでクラインさんが反応した。
「おおっ!キリトの妹さんて幾つ?」
「あのなぁ、あいつ、運動部だし、ゲーム好きじゃないし、俺らみたいな人種とは接点皆無だぞ。...んなことよりさ」
そしてキリトが右手を広げた。
「なんか...変だと思わないか?」
「そりゃ変だろさ、バグってんだもんよ」
「ただのバグじゃない。《ログアウト不能》なんて今後のゲーム運営にかかわる大問題だよ。実際こうしている間にも、クラインが頼んだピザは刻一刻と冷めつつあるし、それは現実問題での金銭的損害だろ?」
「...冷めたピッツァなんて粘らない納豆以下だぜ...」
うん、とりあえず、少しわかった。
普通、この状態なら...
そしてキリトが続ける。
「この状況なら運営サイドは何はともあれ一度サーバーを停止させ、プレイヤーを全員強制ログアウトさせるのが当然の措置だ。なのに...俺たちがこのバグに気付いてからもう15分は立ってるのに、切断されるどころか、運営のアナウンスすらないのは奇妙すぎる」
「む、確かにそうだな」
キリトの言葉にクラインさんが同意する。
確かにそうだ。
なのになぜ...?
そしてクラインさんが話を続ける。
「確か《アーガス》って言やぁ、ユーザー重視の姿勢で名前を売ってきたゲーム会社だろ。その信用があっから、初めてリリースするネットゲームでもあんなに争奪戦になったんだ。なのに、初日からそんなポカやってちゃ意味ないぜ」
「全く同意する。それに、SAOはVRMMOの先駆者でもあるしな。ここで問題起こしたら、ジャンルそのものが規制されかねないよ」
「だよね〜」
そして3人で仮想の顔を見合わせ、同時に低く息を吐
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