第一幕その二
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もまたあのムーア人が嫌いです」
目だけが本当のことを語っていた。口は笑っているがその目はにこりともしていない。闇の中でランランと光っていた。
「それにあの男も」
酒盛りの中に入っているカッシオを指差し憎々しげに語る。
「憎んでいます。本来私が副官になる筈だったのにオテロが勝手に決めてしまい」
「旗手に」
「私こそ副官の地位に相応しい。あの様な書記官あがりに」
昔から戦場を巡ってきた男としてそれが許せなかったのだ。彼はずっと軍人として生きてきているのだ。そのことに誇りも持っていたのだ。
「だからです。私は」
「はい」
ロデリーゴに話し続ける。だが二人は街の片隅に入った。そこで誰にも気付かれずに話をするのだった。悪魔が囁く様に。
その間も街の人々は騒ぐ。最早乱痴気騒ぎに近い。
「さあ祝おう!」
「さあ歌おう!」
皆杯を手に歌い合う。
「この素晴らしい日を」
「勝利の日を」
「さあロデリーゴ」
彼等のその中に話し終えたイヤーゴが親しげにロデリーゴをその中に導き入れた。
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