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久遠の神話
第四十七話 アメリカ軍人その四

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「士官学校の時から」
「士官学校出身ですか」
「そうです。無論空軍のです」 
 その青い軍服が示す通りのだというのだ。
「そこを出て今に至ります」
「空軍ってことはつまり」
 高橋はそのスペンサーを見上げる。日本人としては長身、工藤もそうだがその彼ですら見上げるまでにスペンサーは大きかった。
 二メートルは余裕にある。その彼を見上げての言葉だった。
「パイロットですか?」
「目指していましたが」
 スペンサーは少し苦笑いで答える。
「なれませんでした」
「そうなんですか」
「体格があまりにも大きく」76
 見れば見る程大きい。アメフトをするに相応しい体格だ。
「コクピットで動きにくいので」
「それでなんですか」
「電子整備を担当しています」
 それの責任者だというのだ。
「部隊ではそうです」
「じゃあ領事館では」
「駐在武官です」
 これは先程言った通りだった。
「それを務めることになっています」
「そうですか」
「それでお二人が私のですね」
「ホスト役です」
 この質問には工藤が答える。
「宜しくお願いします」
「はい、それではこれからも」
「お願いします」
 三人はお互いに微笑んで話した。その交流のはじまりはにこやかなものだった。
 まずは交流のはじまりパーティーが行なわれた。しかしその後でスペンサーは二人にふとこんなことを言った。
「お二人共自衛隊と警察に所属しておられますが」
「それが何か」 
 宴の後で二人が領事館を後にする時のやり取りだった。三人はその門のところで二つに分かれて話をしていた。
 スペンサーには工藤が応える。そのうえでのことだった。
「剣道をしておられますか」
「剣道ですか」
「日本の剣道はアメリカでも有名です」 
 まずはここから話す。
「自衛官や警官ですとやはり」
「はい、柔道との選択ですが」
「警察はどちらも必須です」
 高橋もこう答える。
「私は剣道をしています」
「私はやはりどちらもです」
「そうですね。私も剣は嗜みますが」
「そのフェシングですね」
「はい、サーベルです」
 フェシングといっても色々な種類がある。突くだけのもの以外にもそのサーベルという切ることも含まれるものもある、スペンサーはそれだというのだ。
「それをしています」
「ですか」
「ただ。その他にも」
「他にも?」
「トゥーハンドソードというものは御存知でしょうか」
「西洋の剣でしょうか」
 工藤は首は傾げさせなかった、それは幹部として疑問を表に出すのはどうかと思って自分で止めた。だが声にはそれを微かに出してスペンサーに問うた。
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