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万華鏡
第三十三話 合宿の終わりその六

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「結構ね」
「ですよね、やっぱり」
「阪神はいいですね」
「それでもあまり優勝してないから」
 そうそう優勝出来ないのが阪神だ。
「残念だけれど」
「けれど優勝してますから」
 今の広島よりはというのだ。
「順位も大抵広島より上ですから」
「何か暗いわね」
「カープが優勝出来たら明るくなれますけれど」 
 その場合は、というのだ。
「何年先でしょうか」
「横浜で三十九年だったわよね」
 このチームでそれだけだ。
「それじゃあね」
「かなり先ですか、まだ」
「まあそのうち何とかなるかも知れないから」
 先生は必死に言い繕い続ける。
「希望は忘れないことよ」
「いつも希望は持ってます、けれど」
 それでもだというのだ、宇野先輩も野球についてはネガテブらしい。
「毎年ですから。せめて若手が育ってくれて怪我をしなくて」」
「それもなのね」
「メジャーにも行かなければ」
「阪神はいいのね」
「まだ許せます」
 巨人に強奪されるのとは違い阪神に行かれることはというのだ、尚巨人の補強は何の例外もなく絶対に汚い補強である。
「それは」
「さっき言った通りね」
「むしろもっと活躍して欲しいです」 
 阪神に行った広島の選手はというのだ。
「兄貴にしても」
「あの人凄かったわね」
「夏場も頑張ってくれって思ったり」
「新井さんね」
「はい、そう思いますけれど」
 それでもだというのだ。
「いや、若手が育って怪我をしてくれなかったら」
「カープって育った若手がすぐに怪我するわよね」
 宇野先輩の隣の席にいた高見先輩がここで言って来た。
「そうよね」
「そうなのよ、練習のし過ぎで」
「猛練習で若手は育っても」
「それでもよね」
「そう、疲労が溜まって」
 スポーツは練習をしないと上達しないし体力もつかない、しかしそれがあまりにもハード過ぎるとだというのだ。
「かえってね」
「怪我するのね」
「キャンプの時はまず二時間のランニングの後かららしいから」
「そこからっていうのが」
「そう、さらに練習だから」
「普通に二時間のランニングも凄いけれど」
 そこからなのだ。
「猛練習よね」
「アフターケアしてるのかしら、ちゃんとした」
 宇野先輩は腕を組んで真剣に考えだした、思考というよりは心配であろうか。
「怪我が一番怖いわ、いや本当に」
「そういえば最近の阪神ってね」
「そうよね」
 琴乃と里香がここで話す。
「ピッチャーは普通に育ってね」
「怪我もしないから」
「それ考えたら阪神幸せよね」
「野手陣には困るけれど」
「広島より幸せかしら」
「まだね」
「カープ、今年も駄目かしら」
 宇野先輩はこの人にしては珍しく溜息だった。
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