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SAO−銀ノ月−
第五十五話
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だ終わってないなら、俺は解決に回らなくちゃな。……それにさ、キリトに恩を返す良い機会なんだ」

 デスゲーム開始時に何の策もなく第一層から飛びだした俺を救ってくれたし、蘇生アイテム《還魂の聖晶石》を、キリトが渡してくれたおかげで俺は助かった……どちらも結果的ではあるものの、二回も俺はキリトに命を救われている。
……いや、スカルリーパー戦の時みたく、幾度となくキリトには助けられてきた。

「ユイの時には力になれなかったからな……今度は俺が力になる番だ」

「……そうか、お前らしいな。コイツは餞別だ、持ってけ」

 そう言いながらエギルが取り出したのは、ALOのパッケージにハードとして紹介されている、どこかあのナーヴギアに似た機械のヘルメットだった。

 それもその筈だ、エギルが持っているあの機械――《アミュスフィア》は、俺たちが被っていたナーヴギアの改造型なのだから。
大手メーカーから『今度こそ安全』と言われて発売された《アミュスフィア》は、信じがたいことに全世界から好評を博したらしく、その話題のALOのハードであってもおかしくはない。

「そのどスキル制とかはともかく、どういうゲームなんだ?」

 さっきまでは興味も何もなかったのだが、これからこの世界に入るとなれば話は別だ、出来るだけエギルからこの世界のことを聞いておこう。

「魔法あり、ソードスキル無しのSAOってとこか。あとはレベルも無しで、概要はさっきも言った通りだ。……最後に人気の秘訣なんだが、《飛べる》らしい」

「……《飛べる》?」

 アインクラッドを登っていってカーディナルにバレて、そのままビックリして空中を飛んだバカがどこかにいたが、そういう意味の飛ぶではないだろう……落ちてるだけだしな、キリトが。
ALOのゲームのパッケージの男女をもう一度見てみると、男女ともに翼――というよりは羽根か――が生えていたので、恐らくはこの羽根で飛ぶのだろう。

「確かに飛ぶなんてこと、ヴァーチャルじゃないと出来ないか」

「そういうこった。で、プレイヤーは九つの種族に別れて《世界樹》の攻略を目指す、ってなゲームだ」

 種族……ALOの住人の妖精の所属を決める、なんていう要素も決められている訳か。
そして先程、エギルが言ったプレイヤーキル推奨ということを鑑みるに、別の種族とは手と手を取り合って……等という甘いゲームではないらしい。

 デスゲームになっていたらSAOより難しかったな、などと考えていると、エギルが俺を心配そうな表情で見ていた。

「……もう一度言うぞ、ショウキ。やれるか?」

 エギルの心配する言葉を受けながら、俺は無言で《アミュスフィア》を受け取ると、やはり《ナーヴギア》のことを連想してしまって――

「くっ……!」
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