第五十五話
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MMOの技術の素晴らしさは二年間嫌という程体感した。
「じゃあこれは、VRMMOの中、なのか……?」
俺の問いに答えを示すのに言葉を使わず、エギルは一つのゲームと思しき物を俺の前に取り出した。
巨大な大木と、そこを飛翔する妖精のような男女が描かれたそのパッケージには、凝った意匠で《ALfheim Online》という名前が刻まれていた。
「アルフヘイム?」
「《アルヴヘイム・オンライン》、だ。妖精の国って意味で、SAO事件が終わった後に流行りだしたゲームらしい」
アルフヘイム改め、アルヴヘイム・オンライン――SAOと同じように略すなら《ALO》か――を手にとって見ると、どうやら妖精を模したキャラになって冒険するようなゲームらしい。
「……どんなゲームなんだ?」
パッケージから読み取れたのはそれだけだったため、そのゲームを取り出したエギルに直接聞いてみたが、その数秒後に少し後悔することとなった。
「エラいハードなゲームらしい。どスキル制でプレイヤースキル重視、更にはPK推奨だ」
「……すまない、俺に解るように頼む」
SAOで二年間暮らす為には、こういう単語を暗記する必要はあったが、その度にメモ帳で記録を取ったり見返したりしていたのは記憶に新しい。
そんな俺をエギルも覚えていたのだろう、少しばかり苦笑した後に、俺に何とか解るように脳内で言葉を変換しているようだ。
「要は、戦闘力は現実の人間の技術か魔法に依存してて、プレイヤーを殺すことを推奨してるってことだ」
「ふーん……で、あのタイミングでこのゲームを出したってことは……」
俺に解るように変換してくれたエギルには悪いが、俺には憎きVRMMORPGの内容などどうでも良く、大事なのは檻に閉じこめられたアスナの方だった。
「……ああ。お前が思ってる通り、このゲームの最終ダンジョン《世界樹》にいるらしい」
エギルの言葉が俺の身体へと重くのしかかり、俺の脳内にて一つの事実が木霊して響いていく。
――まだSAO事件は終わっていないのだと。
「……このことを、キリトには?」
エギルのことはキリトから聞いたのだ、彼らが連絡先を交換しあっていないとは考えられなかったので、この件においては俺よりキリトの方が重要だろう。
「いや、確証が持てなかったから連絡するか迷ってたんだが……やはりアスナか、コイツは」
「間違いないだろう。……それと、そのゲーム。…………一つくれないか?」
言おうとしていたにもかかわらず、最後の台詞を放つには少しばかり時間がかかってしまい、まだまだ俺はVRMMOが怖いのだと実感する。
「別に良いが……良いのか、ショウキ」
「……ああ。俺が茅場を倒したのにま
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