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SAO−銀ノ月−
第五十五話
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ていたその質問を聞くと、エギルは少し苦笑しながら答えてくれた。

「……大体、二年前から、だな。嫁さんが続けて経営してくれててな」

 二年前と言えば、俺たちにとっては忘れもしないあの日……SAOに閉じ込められた日であり、一刻も早くここに戻ってくる為に、エギルは攻略組に入っていたのだろう。

「……良い嫁さんだな」

「だろう? お前も早く見つけ……てるか」

 ニヤニヤと顔に似合わない笑顔を貼り付けて、カウンターの奥からジンジャーエールが俺の前に出される。

「……何の話だかな」

 出されたジンジャーエールを一口飲むと、思ったよりは辛かったが、なかなか美味しくてもう一口口に入れる。

「ショウキ、最近お前はどうなんだ?」

「……最悪だよ、色々。で、結局世間話がしたかっただけか?」

 世間話が俺の話へと移る前に、先程から挙動不審だったエギルに本題へ入るよう促すと、エギルは真面目な顔をして一つのダブレット端末を持って来た。

「……コイツを見てほしい」

 エギルのいつになくシリアスな声色に、気を引き締めてダブレット端末を見ると、そこには一枚の画像が表示されていた。
どこかの大木の頂上のような場所で、そこに設置された檻に閉じこめられている、ロングヘアで茶髪の女性が外を見て――

「――アスナ!?」

 SAOにおける攻略組のリーダー、と言っても差し支えなかった《閃光》と、瓜二つの女性が檻の中へと閉じこめられていた。
攻略やリズ、キリトを介しての知り合いであったため、俺はアスナと直接会話したことはあまり無いが、その姿を見間違える筈がない。

「……やっぱり、お前もそう思うか……」

「どういうことだ、これは……」

 ニュースと菊岡さんから聞いた話であり、実際にその姿を見た訳ではないが、アスナは今……SAOの未帰還者の一員、つまりは昏睡状態のまま目覚めていない筈だ。
それがどうして、こんなどこかも解らない場所に幽閉されているというのか。

「……VRMMORPG、ってのは解るよな」

「……解りたくなかったがな……」

 エギルがポツリと漏らしたゲームのジャンルは、さほどゲームに詳しくない俺にでも解るジャンルの一つであり、最も聞きたくないジャンルの一つだった。

 VRMMORPG――要はヴァーチャル空間によるロールプレイングの総称で、あのデスゲーム……《ソード・アート・オンライン》と、奇しくも全く同じジャンルのゲームである。
VRMMORPG……いや、VRMMOというジャンル自体がSAO事件で世間に危険視はされているものの、便利なのは確かなのでまだ一般的に流通はしている。

 元々そちらのジャンルに明るくはなく、SAO事件の影響もあってなおさら知らないが、VR
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