第五十五話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ていたその質問を聞くと、エギルは少し苦笑しながら答えてくれた。
「……大体、二年前から、だな。嫁さんが続けて経営してくれててな」
二年前と言えば、俺たちにとっては忘れもしないあの日……SAOに閉じ込められた日であり、一刻も早くここに戻ってくる為に、エギルは攻略組に入っていたのだろう。
「……良い嫁さんだな」
「だろう? お前も早く見つけ……てるか」
ニヤニヤと顔に似合わない笑顔を貼り付けて、カウンターの奥からジンジャーエールが俺の前に出される。
「……何の話だかな」
出されたジンジャーエールを一口飲むと、思ったよりは辛かったが、なかなか美味しくてもう一口口に入れる。
「ショウキ、最近お前はどうなんだ?」
「……最悪だよ、色々。で、結局世間話がしたかっただけか?」
世間話が俺の話へと移る前に、先程から挙動不審だったエギルに本題へ入るよう促すと、エギルは真面目な顔をして一つのダブレット端末を持って来た。
「……コイツを見てほしい」
エギルのいつになくシリアスな声色に、気を引き締めてダブレット端末を見ると、そこには一枚の画像が表示されていた。
どこかの大木の頂上のような場所で、そこに設置された檻に閉じこめられている、ロングヘアで茶髪の女性が外を見て――
「――アスナ!?」
SAOにおける攻略組のリーダー、と言っても差し支えなかった《閃光》と、瓜二つの女性が檻の中へと閉じこめられていた。
攻略やリズ、キリトを介しての知り合いであったため、俺はアスナと直接会話したことはあまり無いが、その姿を見間違える筈がない。
「……やっぱり、お前もそう思うか……」
「どういうことだ、これは……」
ニュースと菊岡さんから聞いた話であり、実際にその姿を見た訳ではないが、アスナは今……SAOの未帰還者の一員、つまりは昏睡状態のまま目覚めていない筈だ。
それがどうして、こんなどこかも解らない場所に幽閉されているというのか。
「……VRMMORPG、ってのは解るよな」
「……解りたくなかったがな……」
エギルがポツリと漏らしたゲームのジャンルは、さほどゲームに詳しくない俺にでも解るジャンルの一つであり、最も聞きたくないジャンルの一つだった。
VRMMORPG――要はヴァーチャル空間によるロールプレイングの総称で、あのデスゲーム……《ソード・アート・オンライン》と、奇しくも全く同じジャンルのゲームである。
VRMMORPG……いや、VRMMOというジャンル自体がSAO事件で世間に危険視はされているものの、便利なのは確かなのでまだ一般的に流通はしている。
元々そちらのジャンルに明るくはなく、SAO事件の影響もあってなおさら知らないが、VR
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ