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あー、君。今日から魔法少女ね。
肉体派魔法少女
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様子で、こちらに問いを投げかける。
「……見慣れない顔ね、近くの町の子かしら。」

 どことなく自身有り気な風貌、優雅さの垣間見える仕草。
少女、巴マミは、ソウルジェムの輝きをそのままにこちらを問い詰める。
「貴女、魔法少女でしょう。結界があった場所に無傷でいる、隠そうとしても無駄よ?」
 穏やかさの裏に強い警戒を含んだ語り口。私は指輪を嵌めた手を、そっと抜き出した。
ここからが肝心だ、不用意なことをして敵対しないように、上手く立ち回らなければ。
抜き出した手と反対の手もゆっくりと挙げ、降参のポーズをとって見せる。
「そのとおり、けれど、隠すつもりじゃなかった。戦う気もさらさら無い。」
 出来る限り誠実に、普段のちゃらんぽらんさが出ないように注意して喋る。
真っ直ぐ目を見ながらはっきりと言葉を紡ぐと、彼女の警戒が少し下がったように見えた。

 ここが仕掛け時だ、この機に畳み掛ける!
「ここに居たのは偶然で、魔女と戦ったのも偶然なんだ。縄張りを荒らすつもりは無い。」
「あら、どうして私がこの見滝原の魔法少女だと思ったの?私のことを知っている?」
 拙い、間違えたか。一度は薄れた警戒が復活したように感じる。
それにしても、彼女は何故こんなにも疑り深いのだろうか。
まぁ、今は考察よりも誤解を解かねば。
「そりゃあ、貴女が如何にも大物って風に現れたから。実際強そうに見える。」
「そうかしら。でも、それだけじゃあ理由としては弱いと思わない?」
「そうかな?態度も高圧的だし、警戒心も強い。自分の領地じゃなきゃできないことだ。」

 しまった、と思ったが後の祭り。つい要らぬ言が口から飛び出てしまった。
が、しかし、その一言が彼女の琴線に触れたらしく、急に態度がしおらしくなった。
「ああ……その、ごめんなさいっ。最近いろいろあって、ちょっと……。」
 言い争っていた相手に弱みを見せるとは。精神の均衡が崩れているように見受けられる。
どうやら本当に、最近何か困った目に遭ったようだ。妙に当たりが弱い。
こちらとしては願ったり叶ったり、和解のチャンスであるので、利用させてもらうけれど。
「いや、構わないさ。こっちも言い過ぎた、お互い差引きで手打ちとしよう。」
「そう……ありがとう。私は巴マミ、見滝原の魔法少女よ、貴女は?」
 何とか和解できたようだ。私はそっと胸を撫で下ろした。
が、一難去ってまた一難。あなたは誰かという質問に、今の私は滅法弱い。
正輝と真幸、どちらでもないがどちらでもあるこの状況。
果たしてどう答えたものか。私は腕を組み数瞬悩むと、口を開いた。
「実は、それで困っている。君、私に見覚えがあったりしないかい?」
「えぇっ!?ど、どういうことかしら……?」
 出来る限り眉を下げて自信がなさそう
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