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最期の祈り(Fate/Zero)
Mission Kiritsugu
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が出来る。だが、この学園にそもそもシェルターが希求されうる状況が想定されていなかった。核シェルターならまだしも通常の基準を満たしただけの防壁では時間稼ぎにしかならない。
 振るわれた刃は絡めとられる。そのまま得物を奪われる前に蹴りを叩き込み、一旦離れる。
 「ったく、白けた。お前、弱すぎだよ。同じ初心者でも衛宮の方がまだ面白そうだった。最も結局エムに取られてしまったがなあ」
 蜘蛛のように空間そのものを巣とし獲物を眺める。
 ――差が圧倒的にあり過ぎる。
 その程度の分析は彼にも出来る。だが、引けない。引いたら……
 「……スコールか。解った。こちらを片付けたらすぐに行く」
 その逡巡が全てを決した。
 ――瞬時加速で背後に回りこまれ、
 「くっそ」
 ――武器を振るわれる前に蹴り飛ばされ、
 「がはっ」
 「瞬時加速」
 ――宙に浮いたその身を地面に叩き付けられ
 「あ――」
 全てが決した。
 体中の空気が一気に外に叩き出される。ギリギリ残されたエネルギーが一夏を守る。だが、
 「餞別だ」
 投げつけられた剥離剤によって、白式が強制解除された。
 「ば、ばかな……なんでだよ……一体?」
 「悪いが説明している時間が無いからな」
 再度、鋼鉄の足が擡げられる。標的は、心臓。
 死ぬ?俺が?
 (駄目だ。今は未だ負けられない。今、負けたら……)
 じゃあなと声が降り、その刃が心臓を貫いた。



 ……筈だった。
 突如、オータムに入ったスコールの一言が彼を救った。
 「オータム、直ぐに戻って来なさい」
 「スコール?どうした、何があった!?」
 緊張が彼女に奔った。向こうにはエムが居るとは言え、同時に更識と衛宮の危険人物が揃っている。もし、万が一があったら……
 「ミッション終了よ。ターゲットの衛宮切嗣はエムが捕獲した」
 
 えっ、と一夏の口から呆けた様な声が洩れた
『急いで撤退するわよ』
そんな報告が、まるで他人事のように聞こえた。

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