ターンEX 真紅のロードを歩む龍
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徳寺先生秘蔵のかりんとうをこっそり持ってくる役目を押し付けられただけだ。ちなみにこのかりんとうを見つけたのも清明である。変なところだけ目ざといのも彼ならではといったところか。
「あ、お帰り〜」
「早速みんなで食おうぜ!」
「遅かったな」
その後もあーだこーだと色々なことに対して文句を言い続ける清明を尻目に急須から湯呑に熱い番茶を入れて一口すすり、ほーっと一息つくユーノ。どうやって急須やら湯呑やらを掴むことができたのか、そもそもなぜお茶を飲むことができるのかなどは永遠の謎である。そして、そんな二人を呆れ半分に見つめるほかのメンバーたち。こんな感じで、レッド寮の夜は今日も更けていく。
時はさらに飛び、草木も眠る丑三つ時となる。さっきまでの皆もとっくに眠りについていて、今動くものはいなかった。………たった一人を除いては。
「うし、これでいいか。じゃ、行ってくるぜ」
そう小声で同居人に呟いて声の主、ユーノは自分の腕にデュエルディスクを装着して窓を開け、ひょいっとそこから外に飛び出した。
「よっ………と」
そして空中で減速し、ふわりと足から着地する。どうやら体がある時の癖でつい窓を使ってしまったらしいが、そもそも壁抜けができる彼にとって今の行為に意味はない。
「うし、誰も見てねーだろうな」
『私が見ていた。ところで、今夜の話だが。私もついていこうか?』
「よっ、チャクチャル。まあお前はむしろ見ててもらわないと困ったことになるからいいや。それと悪いけど、今夜は留守番頼むわ」
『だが……』
「頼むわ。俺が何とかするつもりで入るけど、万一って言葉もあるからな。地縛神が守り神やってくれるんならこっちも安心できるってもんだ」
一瞬の沈黙。だが、先に折れたのはチャクチャルアの方だった。
『わかった。指一本触れさせないし、何一つ見せない。それが頼みたかったんだろう?』
「ははは、さすがによくわかってらっしゃるもんだ。………んじゃ、な。結界は任せたぜ。それと、これも預かっててくれ。万一の時は、そのまま清明の奴に受け渡しとけよ」
そう言って投げ渡したのは、デッキの魂ともいえる霧の王のカード。そのカードをわざわざデッキから抜くということはそれだけ事態を深刻にとらえているということなのだろうが、軽く伸びをし、ゆっくりとレッド寮に背を向けて森の中に入っていくユーノの背中にそんな深刻な色は見られない。その後ろで、レッド寮の建物がシャチをかたどった青い炎に包まれた。本来はダークシグナーがシグナーと戦う際に勝負がつくまで出られないようにするためのものだが、裏を返せばそれはデュエルが終了するまで何人たりとも入ることができない鉄壁の結界となるのだ。
ユーノはひたすら歩き続
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