第五十話 地ならし
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方が帝国が得る利は大きいと私も思う。特にエル・ファシルはイゼルローン回廊から近い、エル・ファシルを帝国本土と結びつけることが出来れば……」
「安全保障の面でも効果は大きいと思います」
ラインハルトが大きく頷いた。ヒルダやシュトライトも不安そうな表情を見せていない。この問題は結構話し込んでるな。妙な感じだ、原作だと経済に関してはラインハルトもヒルダも疎い感じなんだがな。この世界だとそういう風には見えない、俺の所為か? だとすると良い方向に向かっていると言える。
「今すぐというわけにはいかぬ。ケスラーの考えも聞いてみたい。だが基本的には開放の方向で進めたいと思っている」
「有難うございます」
ケスラーは駄目だとは言わないだろう。それにラインハルト本人が開放の意思を持っている、多分大丈夫だ。
今日はスムーズに進むな。ついでだ、例の件も話しておくか。ラインハルトに人払いを頼んだ。ちょっと妙な顔をしたが受け入れてくれた。ヒルダとシュトライトに一礼した。二人が部屋を出て行く。
「で、話とは」
「グリューネワルト伯爵夫人の事です」
「姉上か……。どういう事だ?」
困惑だな、俺とアンネローゼは接点が無い。不審に思っているようだ。
「このままお一人にしておかれるのですか?」
「……」
「お若いのですし、お一人ではお寂しいのではないかと思うのですが」
「……それは……、姉上を結婚させろという事か?」
益々困惑だな。多分ラインハルトはアンネローゼを姉とは思っても女とは思った事が無いんだろうな。十歳で離れ離れになったから大事なお姉ちゃんのままなんだ。時間が止まっている。
「しかし、姉上からは好きな人が居るとは聞いた事が無いが……」
お前は子供か? 全くこれだから……。
「伯爵夫人は後宮におられました。夫人のお立場では言い難いのではないでしょうか?」
ラインハルトが唸った。しかしなあ、どうもピンと来ない、そんな感じだ。
「それに閣下が皇帝として即位されれば伯爵夫人は唯一の皇族という事になります。良からぬ事を考える人間が出るかもしれません」
「良からぬ……。姉上を利用する、いや姉上と結婚して皇族に連なる事で利益を得ようという事か!」
顔を顰めている。不愉快そうな口調だ、大分怒っている。
「或いは閣下を暗殺しようとするかもしれません」
「……」
おいおい、俺を睨むなよ。有り得ない話じゃないだろう。
「伯爵夫人のお傍には夫人を護るしっかりとした人が居るべきだと思うのです……」
ラインハルトが二度三度と小刻みに頷いている。俺に視線を向けてきた。
「卿の言う事は分かる。しかし姉上に無理強いはしたくない、相手の男にもだ」
「分かっております。これまで伯爵夫人は随分と御苦労をなされました。御幸せになってい
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