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銀色の魔法少女
第三話 始まり
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もは通らない抜け道を走っていたら、急にこいつが襲ってきた。

 急がば回れと言うことわざがあるけれど、今回は全くもってその通りだった。

 けれど、そんなことで諦める私ではない。

 こいつを全力で殲滅すればいいだけの話!

「ノートゥング、セットアップ」

『 Jawohl』



side ALL

 銀色の光が彼女を包む。

 彼女の服は消え、彼女を守る甲冑になり、

 彼女が握っていたキーホルダーは彼女に相応しい大きさの剣となる。

 彼女の変身は一瞬で終わり、そこには小学生の遼はおらず、ベルカ騎士の遼がそこにいた。

 顔を黒いバイザーで覆い、身軽さを追求して装甲が薄くなった甲冑をまとう。

 その長い髪は戦闘の邪魔にならないように、後ろで若干低めにまとめられている。

「時間がないから最初からクライマックス!」

『Eisiges Schwert』

 遼の剣が空気も凍るほどの冷気を放つ。

 遼はその剣を鞘に収め、腰を低くして間合いを確かめる。

 その威圧に恐れをなしたのか、それともその本能がそうさせたのか。

 全力で遼を押しつぶしにかかった。

 その距離がだんだんと近くなってくる。

 三m、二m、一m、そして肌が触れ合うと思うほどの距離になって、ようやく遼は動く。

「抜刀」

 それは一瞬だった。

 怪物の目でも捉えきれない速さで彼女は剣を引き抜く。

 彼女が剣を抜き終わった時、全てが終わっていた。

 怪物が斜めにずれていく。

 本来、この手の怪物には再生能力があるのだけれど、遼の能力がそれを許さない。

 切り裂かれた所から、怪物が凍っていく。

 彼女が一度大きく剣を振り、それを鞘に戻すと、怪物は砕け散った。

「ん?」

 砕けた怪物の中央に何か光るものを発見する。

 彼女がそれを拾い上げえると、

『Versiegelung』

 ノートゥングがそれを自分の体内に取り込む。

「おお!」

 ノートゥングにそんな機能があることを知らなかった遼は驚いて剣を離しかけるが、すんでのところで受け止める。

 変身を時、辺りを見渡して被害がないか確かめる。

 かの怪物が跳んだ際にえぐれた地面以外、目立った損害はない。

「まあ、上出来……、じゃない!」

 そこまで思って、彼女は本来の目的を思い出す。

「ご飯!」

 彼女は一目散に家へと再び走り出した。

 …………これは後で分かったことだが、手加減したとはいえ凍らせて砕くのは危なかったかもしれないと、遼はその怪物に生き物が取り込まれていなかったことを幸運に思ったのであった。





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