第20話
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きないのは、彼女の様に恋をしていないからか、はたまた、乙女心を理解できていないからか。
「好きだから、全部ぶつけたいんだ。包み隠さず、ありったけの想いを。好きだから、逃げたくない。気持ちを隠したまま、戦いたくない」
彼女から出てくる想いと自信に、同時に苦笑しながら肩を叩く一夏に、今度の相手は最強だ、と悟らせた。
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とまあ、俺が好きと言った木之本葵は、行動力も持ち合わせており、
翌日の教室の朝、全員が揃った所で改めて彼女の気持ちを告白、教室は応援と冷やかしで大騒ぎに。
そのまま昼には俺を使って姉と妹を呼び出し、俺を自分の物にすると宣言、激しいにらみ合いを続けた。
そして今日まで俺と一夏の模擬戦闘をずっと見学しているのである。
「木之本「葵。」…葵はIS大丈夫なのか?」
「私は前日にある程度確かめれば十分なんだ。心配してくれてとても嬉しい」
恥ずかしげもなく好意を隠そうとしない葵に気恥ずかしさを禁じ得ない。今までに会ったことがない性格だから余計にだ。
葵曰く、「気持ちは気付いてもらうのではなく、伝えるもの」、らしい。
その性格に篠ノ之達は、羨望と尊敬を抱いていた。
しかしそんな葵さんに、大事な兄弟を奪われまいと姉と妹は対抗姿勢を崩さない。
その余波で困るのは他でもない俺であって、ここ最近ろくな目にあっていない。
今日の昼も葵達に拉致られ、カレーうどんの予定が特製弁当(特盛)三つと言う惨劇を味わったばかりである。
三方向から『あ〜ん♪』なんて、最高だけど地獄です!
つまり、幸せな不幸を、一夏やゼロが味わっている苦しみを、俺が受けているのだ。……解せぬ。
「さあ、訓練も終わったようだ、一緒に食堂に行こう。美味しそうにご飯を食べる君が見たい」
にっこり魅力的な笑顔で自然に腕を組み引っ張る葵さん。一夏よ、生暖かい目で笑いながら手を振るんじゃない。
そうして抵抗虚しく食堂に連行され、『偶々』居た我が麗しの姉妹に発見され、一悶着あったのは言うまでもない。
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そんなこんなで瞬く間に時は過ぎ、遂に決戦の時が訪れた。
準備は万端、意気は十分、心身に問題なし。
それどころか、今までに無いほどに、ウズウズしていたりする。
「良い顔だ、丹下」
「織斑先生!」
「今のお前なら何も助言は必要ないな。丹下、遠慮はいらん。お前を見ている全員の度肝を抜いてやれ!」
激励に来てくれた織斑先生は、俺の心境を知ってか、悪戯っぽく笑って盛大に背を押される。
ゲートが開く。ステージには、葵が待っている。あの日と、初めての戦闘と人は違えど状況は同じ。
そうさ、こんな瞬間を待ってたんだ。理屈も、建前も
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