第20話
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『対戦相手』が『堂々』と訓練を『見学』している事だ。
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事の始まりは、一夏に訓練の相手を頼んだ翌日、その日の訓練を終わらせた時だ。
お互いにへとへとながら、充実感に満たされながらピットに戻ると、凛とした雰囲気の、腰まである漆黒の髪の、武士を思わせる少女が立っていた。
「はじめまして…、ではないな。私は木之本葵。君の対戦相手だ」
少女、木之本葵は右手を出した。握手を求めているようだ。
いきなりの訪問、突然の挨拶に、俺と一夏は顔を見合わせた。どうしたものかと。
まあ、出されたままにするのも失礼と握手には応じたが、イマイチ彼女の行動に理解が追い付かない。
挨拶に来るのは殊勝な心がけなのだろうが、何も訓練が終わった直後でなくても良いはずだ。
そんな事を、言葉を選んで何重にも包んで言うと、彼女はうっすらと頬を染め、篠ノ之以上のワガママボディをモジモジとわずかにくねらせ始める。
その時、彼女から生じた何とも言えないプレッシャーに、俺は完全に気圧されていた。
「な、何だこの雰囲気は!?俺が追い詰められている…!?」
「その、今回こんなことになったが、き、君には前々から伝えたい事があったんだ」
「な、何かな?」
「…丹下智春君、私は君が好きだ」
僅かに俯かせていた顔をシッカリと俺に向け、真っ赤に顔を染めながらも、強い意思を秘めた眼で、彼女は自らの想いを伝えた。
そんな突如の告白に思考が停止した俺を、誰が責められようか。
「初めは、ダンプカーに巻き込まれそうな私を助けてくれたお礼が言いたいだけだった」
固まったままの俺達を見て、懐かしそうに彼女、木之本葵は語り出す。
「きっかけはそうだ、君と宮間のぞみの戦闘だ。見惚れたよ、がむしゃらに、ひたむきに勝ちを目指す姿に」
「…そんな大層に言われても、な」
必死に絞り出せたのが、これだ。不安や諸々の気持ちに打ち勝ち想いを告げた相手に、これだけしか返せないのが不甲斐ない。
“
「私にとっては、それだけの価値があった。それからどんどん君に惹かれていった。負けず嫌いな君が好き、然り気無く気を使える君が好き、毎回寄って来るシエルと言う少女を邪険にせず導く君が好き。そして、私の為に悩む今の君も」
しどろもどろな俺に微笑む木之本葵。こんなにあからさまに、一気に好意をぶつけられたことが無いため、どうすれば良いのか全く分からない。
もしこれが戦闘を優位に進めるための作戦ならば、これ以上堪える一撃はない。
「一つ聞きたい、なぜ今なんだ?先の戦闘が終わった後でも気持ちは伝えられただろう?」
「好きだから」
「…どういう意味かな一夏?」
「…さあ?」
好きだから、では意味が理解できない。理解で
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