第九十二話
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分の天幕へ戻った。
「作戦の子細は後程伝えるのじゃ」
そう言ってその場は解散となった。
「なぁ長門。あんな美羽を見たのは初めてだぞ」
「そうやで長門。あれには吃驚したわぁ」
桜花と霞がそう言ってきた。
「まぁ仕方ないだろうな。美羽はこれまで成長してきたが作戦を拒否されるという懸案は考えてなかったんだろうな」
「ま、それは文官の仕事やしウチらは突撃したらええけどな」
「ハハハ、それは違いないな」
俺は暫く二人と談笑した後、真桜の工作隊の元へ向かう。
「よぅ真桜。進捗状況はどのくらいだ?」
「あ、隊長。今のところは五十個くらいやなぁ」
真桜はそう言って俺に小さい壺を見せる。
「生産は予定通りにいけるか?」
「分からんなぁ。壺は作れるけども、魚油が取れないと分からんよ」
「分かった。取りあえず二日後までに出来るだけ生産してくれ。頼むで」
「あいよ、任しとき」
真桜はニカッと笑って作業に取り掛かる。まぁ三百あれば何とかいけるもな。
「酷い傷……それにしても何で美羽はこんな事を……」
蓮華は傷を見てそう言っている。しかし、傍に控える冥琳はそう思っていなかった。
「雪蓮……苦肉の計だな?」
「え?」
「……やっぱり冥琳は分かっちゃったわね」
「当たり前だ。何年の付き合いだと思っているんだ雪蓮?」
「ど、どういう事?」
「蓮華、全ては美羽の策だと言う事だ」
「お母様」
夏蓮が事情を知らない蓮華達に全てを話した。
「まさか……そんな事が……」
「お母様は直ぐに分かったでしょ?」
「当たり前よ雪蓮。祭や翡翠も気付いていたわ」
「私って一体……」
「れ、蓮華様……」
芝居だという事に気付いていなかった蓮華が若干落ち込み、思春が慰めている。
「それでどうする気だ雪蓮?」
「準備が出来次第魏軍に降る予定よ。それまでに陣内で仲軍への悪口や仲違いとか噂すればいいわ」
「分かった。その辺の工作は私がやる。思春、明命」
「「は」」
冥琳がそう言って思春と明命を飛ばした。そして翌日から仲軍と元呉軍の噂が流れ出した。
「……作戦は順調のようだな」
噂が広がっている事に俺はそう思った。そこへ目の下にクマが出来た真桜がヨロヨロと天幕に入ってきた。
「……隊長ぉ……出来たでぇ……」
「よく頑張ったな真桜」
「エヘヘ……これで寝れ……る……」
そう言って真桜の寝息が聞こえてきた。まともに寝てなかったんだろうな。
「兎に角、これで作戦が出来るな」
俺は真桜を天幕の寝台に寝かして雪蓮の元へ向かうのであっ
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