板垣家へ
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昨日と同じように千李は学校を終えると風間ファミリーの面々とは帰らず、一人親不孝通りを歩いていた。瑠奈には「今日は遅くなるから百代たちと鍛錬をがんばれ」と言ってあるため心配はないようだ。
川神市のゴロツキたちが自然と集まるこの親不孝通り。一般人なら絶対に近づくことはない。それが女子高生ならなおさらだ。
しかし、千李は気楽そうに進んでゆく。
先ほどから千李を品定めするようにガラの悪そうな連中が見てくるが千李はそれを殺気を孕んだ睨みで返す。睨みで返された男達は千李の殺気に震え上がりそそくさとその場を去っていく。
いつしか千李の周りに人はいなくなりただ道が続くだけとなってしまった。
「……はぁ。まったくもう少し肝っ玉の強いやつはいないのかしらねー」
誰もいなくなった親不孝通りを進みながら千李はつぶやく。
そして千李はずんずんと進んでいく。
たどり着いたのは親不孝通りのさらに奥。
工業地区にある家だった。千李はその家のインターホンを鳴らす。
すると中から出てきたのは眠そうな顔をした辰子だった。
「ふぁい。どちらさまでしょーかー……Zzz」
「こらこら。人を迎えに出ときながら寝ちゃダメでしょ」
ドアを開けながら倒れこんできた辰子を受け止めながら千李は苦笑交じりに告げる。
千李の声に覚醒したのか辰子は状態を戻した。
「んー。あーセンちゃんいらっしゃ〜い。あがってあがってー」
「ええ。お邪魔するわね」
辰子に導かれるまま千李は板垣家に足を踏み入れた。
中に入ると千李は居間のちゃぶ台のところに座ると辰子に聞いた。
「そういえば天使と竜兵は?亜巳さんはバイトだと思うけど」
「えっとねぇ。天ちゃんはゲームセンターで竜ちゃんはなんかいい男がいたからその人のところにイってくるって言ってたよー」
それを聞いた千李は眉間に手を当てた。
……天使はまだしも竜兵のガチホモは健在みたいねー。……大和たち狙われなければいいけど。
内心で大和たちの心配をしながら千李は続けて聞いた。
「で、不定期で仕事があるから俺はプー太郎じゃねぇって言ってるあのプーはどうしたの?」
「プーさん?う〜ん?……ああ!師匠のことだねー。師匠はわかんない」
「そう……」
辰子の答えに千李は静かに頷くと少し目を細めた。
……よからぬことに手を出してなければいいけど。
すると辰子が千李に抱きつき始めた。
「ん?どうしたの?」
「えへへー。なんとなくセンちゃんに抱きつきたくなったんだー」
後ろから抱きつき千李の右肩あたりから顔を出す辰子はとても幸せそうだった。
千李もそれに答えるように辰子の
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