マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
Swordsgirl―女剣士
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
サイドステップで確実に回避できる」
胸の前に刀を構え、捻りながら突きを繰り出す。衝撃で辺りの家具が軋み、それが止むと同時に小太刀を振り払って鞘に納めた。
「何か質問は?」
「……理詰めで出来れば誰も苦労しないっての」
「とりあえずわたしには無理だという事が分かりました……」
「練習は、してみようかな〜……」
「………ねぇ」
1人難しい表情で考えていたアスナが律儀に手を挙げながら発言した。
「速さで上を行かれてる相手のカウンターを防ぐすれば、どんな方法があるかな?」
「カウンター、か。……アスナの反応速度と技術ならカウンター返しを狙ってもいい。が、そうだな……そうなった場合は死角を狙え。カウンターを誘発して相手をソレに集中させる。んで、もう一方の手で相手の隙を突く。対人専門のプレイヤーならトリッキーな戦闘には慣れてない筈。正攻法と搦め手を混ぜながら戦えばあるいは勝機があるかもしれないな」
カウンター返しは流石に練習無しで使うのはリスキー過ぎるし、読まれる可能性が高い上に決め手になりにくい。某ボクサーみたいにどろどろの戦いをしたいならまた別の話だが。
「それで?反応速度ならそこに規格外のが居るじゃないか。もう戦ったのか?」
「はい。お兄ちゃん、もう気持ち良いほどあっさりと負けましたよ」
「……まじか」
SAO最速の反応速度を誇ったキリトより速い剣士。俺はこの時、その存在に薄ら寒い戦慄を覚えた。
______________________________________
「ふぅ……」
電源を落としたアミュスフィアを取ると、地球の重力に慣れるべく立ち上がって部屋の中を歩き回る。3年前のキャリアブレーションのデータである《レイ》はインプの平均的体格のアバターで全種族の平均ではやや大柄と言って良い。
対して今の螢は鍛えているとはいえ、線は細い方だ。と言うのも、3年前――つまりSAO事件以前と現在とでは筋肉量に明らかな差があるからだ。
「……やり直すか」
そう思いつつ先延ばしにしてきたのは以前の自分への執着か、それともただ単に仮想世界と現実を割りきっている証拠なのか……。
胸に支えるこの無力感はどうもそこから来るような気がした。
______________________________________
Side雪螺
「……そうか、後2ヶ月掛かるのね」
『悪いね。アチラさんもあんまり長く空けられるのも困るみたいでさ。……それまでもちそうかい?』
「……分からないね。治療は続けているんだが……。螢は《静養》って言葉を知らないから」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ