マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
結城家乱入?
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蓮華王院を経由し、洛中京都駅前に到着すると、水城家の家紋が入った羽織を召し、道のど真ん中に堂々と陣取っている蓮を見つけた。
「よお、来たぜ。あけおめ」
「ごくろーさん。あけおめ」
ぞんざいに謹賀の挨拶を済ますと、蓮は辺りをキョロキョロと見回し、俺がやって来たのと反対方向に向かって手招きした。やって来たのは沙良、そして彼女の執事(?)仙道だった。
こちらとも挨拶を交わし、俺は蓮兄に向き直った。
「んで、どっから行くんだ?」
「西陣だ」
「西陣?そんなとこ、何で……?」
西陣というのはその昔、応仁の乱の時分に西軍大将山名宗全がその地に陣を張ったことに由来する。
古来からの機業地であるが、戦いで四散した後、復興して西陣織という高級織物の産地となった。
「いや実はな、挨拶廻りはもう終わってるんだ。でだな、北野天神(北野天満宮)に行った時、彰三さんに会ったんよ。その時は忙しくてな。後で会いに行くって御実家の場所を聞いたんだ。親戚一同そこに会してるらしい」
「ほぉー……」
その場にお呼ばれしたため、未だにその厨二チックな羽織を着てるのか。よくみれば沙良は地味めな振袖、仙道さんも蓮兄と似たデザインの着物と羽織(家紋は入ってないが)――これは防寒具だろう――を着ている。
とすると、明日奈やその親戚である海斗もいるのだろう。
「ん、そうゆう事なら了解した。……しかし、俺はそんなキチンとした服装、持ってないぜ?」
「抜かりはない!」
ビシッと音がしそうな勢いで蓮が指差した先に居た仙道さんがどこからともなく、紺色の生地をベースに赤い装飾が施された立派な着物を取り出した。続けて沙良が――こちらもどこからともなく――家紋の入った羽織を取り出す。
蓮のものと一ヵ所意匠が違うのが道辺りにくる部分に『弐』と白字で書かれている事だ。勿論、蓮のものには『壱』、沙良のものには『肆』と書かれている。
「壮観だな……」
水城家次世代の事実上トップスリーが顔を揃えて訪問するのだ。行き先が行き先なら、相手方は恐怖のあまり泡吹いて気絶するに違いない。
「ははは。1人足りないけどなー。……どうしてるかなぁ?」
「……蓮兄様はこの間会ったでしょうに」
「……今は、やめろ。思い出したくもない」
「悪い悪い」
苦笑いしながら謝る兄にやれやれと首を振る。しかし、彼はどこか寂しげな顔をしていた。
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京都駅から西陣へはそう遠くはない。徒歩数十分の内に目的の巨大屋敷に到着した一行はその想像以上の大きさに暫し沈黙した。
「世が世ならウチもこんなだった
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