第一幕その八
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陥れているのは外から来た共和主義者であり彼等こそが全ての元凶であると喧伝した。
スカルピアに煽られた市民達は次々に共和主義者と思しき外国人や不審な者達を捕らえスカルピアの下に連れて来た。その数は数千に及びスカルピアは彼等のほとんどを死刑にし全財産を没収した。これには彼の配下であるシチリア出身のならず者達の力が大きかった。
戒厳令を敷くと同時に彼はナポリ全土へ手の者達を放ったのである。そして共和主義者達のブラックリストを瞬く間に作り上げたのである。そして市民達を煽り共和主義者達を連れて来させたのである。
無論ブラックリストの中には共和主義とは全く関係の無い者達もいた。それはスカルピアも承知していたしそうなる事も解かっていた。それが誰かさえ。
では何故そうしたか。袖の下を要求する為だ。賄賂をせしめた後放免する。そしてそれをネタに彼等を脅し自分達の協力者に仕立て上げるのだ。こうしてナポリの対共和主義者秘密警察は作り上げられていった。
秘密警察やスパイを街に放ち市民に密告を奨励する。こうしてナポリ全土の共和主義者達を血祭りにあげていったのである。
それが王妃に認められ不穏な状況となっていたローマに送り込まれた。そしてローマでもナポリと全く同じ事をした。
元ローマ共和国領事アンジェロッティ候を捕らえた時王妃にすぐに獄中で暗殺する様指示された。密かに行うつもりであったがその話が何処からか漏れた。否その考えはアンジェロッティの実家に容易に読まれていた。脱獄された。このまま逃げられれば自分の首が危ない、そう直感した。
ナポリでのやり方が余りにも狡猾で残忍であった為彼を嫌う者はこの上なく多かった。流石に王妃も庇いきれないようになっていた。まして共和主義者の中でも大物中の大物であるアンジェロッティを逃したとあれば・・・・・・・・・。王妃と親しいエマ=ハミルトンの事もあり粛清される、そう確信していた。今彼は将にダモクレスの剣の下にいたのだ。
「出口は全て押さえろ。猫の子一匹見逃すな、獲物は悪賢いぞ」
低く野太い声で指示が出される。警官達が一斉に散る。それを見て教会の中の市民達は恐れおののいている。
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