第一幕その六
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わせをしなくちゃいけないから」
「それが終わったら別邸においで。夕食とワインを用意して待ってるよ」
「楽しみにしてるわ」
立ち去ろうとする。扉を開けた時に振り返った。
「マリア様の瞳は黒にしてね」
「うん、じゃあそうしとくよ」
「絶対よ」
扉を閉め教会を後にした。中にはカヴァラドゥッシだけが残された。
「そうか敗れたか。ならば急いだ方がいいな」
そう呟き礼拝堂の方を見た。アンジェロッティが出て来ていた。
「さっきの話の続きだけれどこれからどうするつもりだい?」
「ローマを脱出するつもりなんだ。僕を逃がしてくれた城の典獄の手引きでね。女に化けて」
「服は?」
「弟と妹が礼拝堂の中に隠しておいてくれた」
礼拝堂の中を指差した。
「そうか、そしてその典獄は何時ここへ来るんだい?」
「明日の朝だ」
「じゃあその服は着ておいた方がいいよ」
「どうしてだい?」
「夜になるとこの教会は冷え込むからね。用心にこした事はない」
「そうか。じゃあ早速着るとしよう」
礼拝堂へ入り衣装を取り出してきた。白っぽいドレスとヴェール、そして扇である。
アンジェロッティは服を着込み始めた。ヴェールを被ろうとしたその時遠くの方から砲声が聞こえて来た。二人は愕然となり顔を見合わせた。
「城の方からだ」
アンジェロッティの顔が蒼白になった。
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