兄としての矜持
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ったら引くに引けないか……
「しょうがない。相手をしてやる」
「そうこなくちゃな。リーファは俺よりも強いやつにしかやらない。例えそれがリンだとしても!」
「はいはい、わかりました。で、どこでやるんだ?」
一人ヒートアップしていくキリトにため息をつく
軽く流しても全くへこたれた様子もない
「この家の前の通りでいいだろう。じゃあ、行くぞリン」
キリトはそう言うと答えは聞かないとばかりに俺の手を取って引っ張っていく
抵抗する意味もないので大人しくついていく
そんな俺にシノンが顔を赤くし、左右をせわしなく見ながら声をかけてきた
「リン、その……もし勝てたらなんだけど……私からなにかあげるね」
「あ、ああ……わかった」
「リン! なにを無駄な口を叩いてるんだ? 早く行こうぜ!」
「……殺す……」
無駄口ときたか。さっきまでやる気はなかったが関係ない
期待にお応えして全力で相手をしよう
「ルールは全損でいいんだな?」
「当然だ」
家の前の通り。だいたい十メートルほどの間隔を空けてキリトと向かい合う
デュエルの申請が飛んできたので承諾。オプションから全損モードを選択した
SAOでは圏内PKにしか使われないシステムだけあって妙な感覚に襲われる
軽く頭を振るってそんな感覚を追い出すと俺は腰に吊り下げていた二本の剣を抜いた
「キリトと戦うのはいつ以来だったか?」
「クリスマスくらいじゃなかったか?」
腑抜けたキリトを強引にデュエルに誘ったのが最初だったか?
最初は剣すら構えずただ斬られるだけだったキリトを斬ってはポーションを口に突っ込み、斬ってはポーションを口に突っ込みを繰り返していたな。懐かしい
「ああ、あの時のようにはいかないぞ?なんたってリーファのためだからな!」
前半はよかったのだが後半のせいで台なしである
もう少し様子を察せるようになろうな?
「はぁ……そうか。だがまあこっちとしても期待されてるからな」
右手の剣を肩に担ぎ、左手の剣をわずかに前に突き出す、使い慣れた俺独特の構え。手の中に鋼糸を潜ませ、仕込みは上々
戦いは始まる前に八割方終わっているって言ったのは誰の言葉だったか
「覚悟はできたか?」
「リンを倒す覚悟ならな」
「その意気はよし。だが……勝ってから言うんだな」
野次馬が俺とキリトの回りを囲み、即席のスタジアムができあがる
カウントは進む。俺は回りの喧騒を意識から消してキリトだけに集中する
そしてカウントがゼロになるのと同時に俺とキリトは地面を蹴った
初撃は俺からだった
瞬歩で一気に懐に潜り込み、事前に溜めをつくっていた左手の剣を突き出す
熟練者でなけ
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