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銀色の魔法少女
第二話 出会い
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としたことがつい」

 彼女の胸から解放され、ようやく彼女の姿が目に入る。

 クリーム色の髪に、炎より赤い瞳。

 幻想的な戦乙女を連想させられるその容姿は街ゆく人々を魅了するだろう。

 ただ普段の彼女はあまり外に出たがらないため、彼女を知る人はあまりいない。

「大丈夫、それよりお腹すいた……」

 彼女の頭を優しく撫でる。もちろん左手で。

「はい、じゃあ荷物は私が持ちますから、遼は手洗いとうがいをしてきてください」

「うん……」

 私はクリムに荷物を預けると洗面所へと歩いて行った。



side クリム

「ああ、遼、今日も元気そう」

 彼女は今日も何事もなく、実に美しい。

 彼女の美貌は去年から着実に進化している。



 私が、彼女の両親を殺した、あの頃から。





side ???

 悔やんでも悔やみきれない過去の記憶。

 紅蓮の炎が周囲を包む。

 辺に響くのは無数の悲鳴と怨嗟の声。

 ある者はその炎に全身を焼かれ、

 ある者は瓦礫に潰され、

 ある者は心を病み、自ら命を絶つ。

 この世の地獄が顕現していた。

 その地獄の中心に泣き叫ぶ少女の姿があった。

 また、やってしまった。

 そう彼女は何度も何度も自らの命を絶とうとするも、その身に刻まれたプログラムがそれを許さない。

 その刃を喉に突き刺そうとしても、彼女を包む無色の鎧がそれを阻む。

 そんな時だった。

 彼女の視界の端に動く者がいた。

 それは少女だった。

 彼女の側に横わたっているのは恐く彼女の両親だろう。

 瓦礫の破片がその身に深く突き刺さり、既に絶命している。

 彼らを見下ろす彼女の頬をきらめく涙が流れ落ちる。

 彼らに向けて何か話しかけたようだったが、爆音と悲鳴が邪魔で聞き取ることができない。

 彼女は辺りを見渡す。

 するとこちらに気がついたようで、近づいてくる。

「来ないで!!」

 私は精一杯、拒絶の意志を彼女に叩きつける。

 同時に、私の周りを紅蓮の炎が包む。

 これは私の意思とは関係なく、私に近づく者全てを焼き尽くす。

 この地獄もこの炎が原因だ。

 こんな力があるから、私は何度も何度も殺してしまう。

 だから、せめて彼女だけでも、生き残って欲しかった。

 なのに、



 彼女はその炎を突き抜けて来た。



 彼女の体のあちこちに炎が燃え移り、その身を焦がしている。

 なんで! どうして!

 私は訳が分からなかった。

 逃げれば良かったのに、そのまま助けを求めてどこかに行けば良
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