第16話 子供で駄目な時は無理せず大人に助けて貰おう
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(ちょっ、ちょっと銀さん! 何嘘っぱち言ってるんですか!)
(しょうがねぇだろうが! これ以外に良い言い分がある訳ねぇだろうが! それともあれか? お前この一家に真相を言うつもりかぁ? 実はなのはは魔法を使う金髪の変態少女に連れて行かれたって……絶対信じる訳ねぇだろうが!)
確かにそうだ。この一家に真相を話したところで絶対に信じる筈がない。実際問題いきなり魔法だのそんな事を言えば世間的に頭のやばそうな人と誤解される。
それならいっその事マウンテンゴリラとかの方がまだ説得力がある。何せ実在しているのだから。
「そ、それじゃ……今頃なのはは?」
「分からないが……最悪、そのマウンテンゴリラに――」
言い終わるよりも前に陶器が割れる音がした。見ると其処には父士郎が持っていたご飯茶碗がその手の中で粉々に砕け散っているのが見える。
粉々になった陶器と共に辺りに白いご飯が飛び散る。
その光景に恐怖を感じた恭也は恐る恐る父士郎の視線を伺ってみる。
其処に居たのは今までの優しい父の顔などはなく、狂気に満ちた鬼神の如き殺気に満ち溢れた顔になっていた。
「銀さん……そのゴリラ、殺しても罪にならないかなぁ? って言うか、俺自身の手でそのゴリラを地獄の底へ叩き落して良いかい? この手で、この刃でそのマウンテンゴリラをズタズタに引き裂いて構わないかぃ?」
「落ち着け、お前の気持ちは分かる。だが、お前は一家の大黒柱だ。そのお前が罪を犯してそれが世間に露呈したら、その先どうするつもりだ?」
「はっ!」
銀時のその言葉に士郎は黙り込んでしまった。幾ら逃げ出したとは言え、ゴリラは昨今貴重な保護動物として扱われている。その動物を勝手に殺してしまえばそれこそ罪になる。そうなってしまいそのまま務所ぶち込まれてしまった場合、誰が家族を養っていくのだろうか?
その先を考えただけで、今まで湧き上がっていた怒りの炎が萎んでいくのを感じていた。
出来ない。出来る訳がないのだ。
そう考えただけで士郎は動けなかったのだ。そんな士郎の肩に銀時がそっと手を置く。
「安心しろ。なのはは俺達が責任を助けてやる。お前はなにもせずふんぞり返って待ってろや。お前がやらなくても俺達が変わりにそのマウンテンゴリリアをしばき倒してやっからよぉ」
「ぎ、銀さん……有り難う、本当に有り難う! 銀さん……」
気がつけば、士郎は泣いていた。大の大人が滝の様に涙を流して泣いていたのだ。
そんな士郎を銀時がそっと背中を擦って宥めていた。大人同士の熱い友情の光景だった。
新八も思わず目の辺りが熱くなるのを感じていた。
だが、その感情も銀時の顔を見ただけでアッサリと吹き飛ぶ事となってしまった。
泣いている士郎に対し、銀時は笑っていたのだ
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