第9話 眠れる森の美少女だそうですよ?
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り上げた世界に絶望し、新たな世界を創り出そうとしたその時、彼女の事を友達だと言ってくれる相手が顕われた。
「あなたが世界を破壊するのなら、その前に僕に言って下さい。その時は、あなたの前に新たな世界の芽を用意します」
そして、二人で新しい世界をもう一度創るのです。
今度は、一人で創るのではなく、二人で、と……。
だから、世界を。そして、其処に暮らす存在たちの未来を奪わないで欲しいと。
それまで、彼女にも友達や、それ以外の存在が居た事も当然、有る。
しかし、それらの存在は、自分の事には感心が有るが、他人の事には一切の感心を示す事はない特殊な存在たち。
そして、それは彼女もそう変わる事は無かった。
そんな中で、その少年の言葉は……。
その日以来、彼女は世界の破壊を止めた。
そうして、色々な世界を渡り歩き、この箱庭世界のこの場所に森を作り、大きな樹の根本に横に成り、星を数えながら眠りに就いた。
自らの創り出した生命たちに守られながら。
自らを友達だと言ってくれた少年が再び、彼女の元を訪れるその日を待ちわびながら。
「まさか、本当に、そんなヤツが眠って居るとは思わへんかったけど、一応、昔話を信じて森の奥にまでやって来た、と言う訳なんや」
白娘子の話を受け継いで、白猫タマがそう言った。
但し、その言葉の後にリューヴェルトを、ある意味猫に相応しい妙に哲学者然とした表情で見つめた後に、更に続けて、
「もっとも、もしかすると、その少年と言うのがアンタの可能性も有ると思うから、美月やハクが女神の魂を揺さぶる音楽を始める前に、目覚めのくちづけを試して見るのも悪くはないと思うけど。どうや、試して見るか?」
……と、リューヴェルトからして見るとかなり問題が有る問い掛けを行って来た。
更に言うと、言葉自体はどうにも信用出来ない妙なイントネーションの言葉使いだが、どう考えても冗談や酔狂で口にしたとも思えない雰囲気での一言で有った事は間違いない。
「いえ、わたしには女神とそんな約束を交わした記憶は有りませんから、目覚めのくちづけを行った所で目覚めさせる事は不可能でしょう」
そんな、当たり障りのない答えを返すリューヴェルト。それにそれは事実。
リューヴェルト自身は前世の記憶を有する転生者。しかし、自らの前世の記憶にもそんな破壊神にして創造の女神と交わした約束に関する記憶は存在していない以上、少なくとも、彼に関係した相手ではないと思われる。
まして、見た目は美少女の容姿をしている相手だが、その正体は破壊神。更に、彼女の周囲を護る妖樹たちはどう見ても、危険な存在としか思えない相手。そんな相手に、試して見るだけの意味でくちづけを交わすのは、正直に言うと激しく辞退したい。
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