第八十八話
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セイバー。私はアーチャーをここで使い潰してでも時間をかせがせるつもりだった。つまり、私はアーチャーを撤退させる為に令呪を使うなんて事、有り得ないのよ」
「なっ!?」
私の言葉に息を詰まらせた士郎。まぁ、彼にしてみればサーヴァントでも戦って死ねと命令した私を非難したいのでしょうね。でも、助けてもらった手前できないだけ。
「はい、凛ならそうするでしょう。いや、撤退させるにしても此処に呼ぶはずだ。消耗していたとしても今の私よりは戦力になります」
「ええ。だから何でそんな事をしたのか私自身が納得出来ていない。でもねセイバー。私は私の意志でアーチャーを遠坂の家に飛ばしたの。これって、矛盾しているわよね?」
「はい」
そう、私は魔術師だし、あの場合の最善はアーチャーに時間稼ぎをさせている内に森を出るか、アーチャーを倒されたあとに追って来るであろうあの主従をどう迎え撃つかなはずだ。
まかり間違えても戦力になるアーチャーを一人で帰すなんて事は私ならば絶対にしない。
と言う事は…
「少しそこらで休んでいきましょう」
「遠坂っ、それは流石に…こうしている間にもイリヤ達が迫ってきているかもしれないじゃないかっ!少しでも距離を稼がないとヤバイっ」
「それは無いんじゃないかな」
「何でだよっ!?」
食って掛かってくる士郎。
「いい?私達は逃がされたのよ。ご丁寧にアーチャーまで無事に帰してくれるという施しまで受けてね」
「はぁ!?」
「いい?衛宮くん。私は誰かに暗示を掛けられたの。それこそ私自身が気がつかない内にね」
「どういう事だよ?」
「さあ?どう言うつもりで私達を逃がしたのかは知らないけれど、あのチャンピオンと言うサーヴァントにはまだ私達に脱落して欲しく無いみたいね。ほんの一瞬目を合わせただけでこんな高度な暗示を掛けてくるなんて…正体不明で姿が変わる不気味なサーヴァントだけど、それ以上に厄介だわ。もう私も士郎もチャンピオンの目の前には姿を現せない。ううん、現したら負けね」
「どうしてだ?」
「彼の暗示が強力だからよ。あたかも自分の意思で在るかのように自発的に行動させる。この私ですら操られてしまった。衛宮くん程度じゃそれこそ一発ね。…それも令呪の発動なんて事も誘導出来ているの。分かる?チャンピオンの前に出て、もし彼が令呪を持ってサーヴァントを自害させろと言われたら、おそらく私達は抗えない。令呪の縛りは絶対よ。幾らサーヴァントにとって不満が有る内容だとしてもサーヴァントは令呪の縛りに抗えない…と言う事はあの一戦目から私達を殺す気は無かったのでしょうね…」
本当にムカつくわ。
彼がその気なら私達は一瞬でリタイアしていたなんてね。
「そんな彼が私達を逃
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