第八十八話
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皆無と言っても良いが、閃光に視界を一瞬取遮られ、アーチャーの次の一手を許してしまった。
アーチャーの手には黒塗りの洋弓。
「――――I am the bone of my sword.(我が骨子は捻じれ狂う)」
引き絞るその手には一本の剣が虚空から現れ、矢として番えられている。
彼の攻撃を避けるだけならおそらく簡単だ。四肢に力を入れて駆ければ難なくかわせる。
しかし、問題は俺の居る位置だ。
階段上に居るとは言え、イリヤがアーチャーの放つ矢の斜線上に入ってしまっている。
俺が動けばこちらを狙うと言うのは早計だろう。普通に考えればサーヴァントを狙うよりマスターを狙った方が都合が良いのだから。
もちろんイリヤにはサークルプロテクションを施しているが、それがかえって彼女の逃げ道を阻害している。
これから放たれるアーチャーの一撃はおそらく必殺の一撃。流石に宝具クラスの一撃を耐えられるほどプロテクションは硬くない。
アーチャーはその矢の先を階段上に居るイリヤへと向けた。かわしても良いが、分かっているな?とアーチャーの目は言っている。
俺が何をしようと必ず放つとアーチャーは心に決めている。そう言うやつの一撃は強い。たとえ俺が今から一瞬でアーチャーを沈めようと、その一撃だけは意地でも放つだろう。
「ソルっ!」
『ロードカートリッジ』
ガシュっと一発ロード音が響き、薬きょうが地面に落ちる時間も無いほどに速く俺は後ろへと跳躍し、イリヤの前へと着地する。
「え?チャンピオン?」
と驚くイリヤだが、それに構ってはいられない。
映画では明言されていないが、投影のニセモノとは言え、あれも宝具なのだ。どう言った付加魔術が付いているか分からない。
貫通などの効果が付属しているかもしれない。
そんな物相手にこの世界の現象に組み込まれてしまっている今の俺のプロテクションなどのシールドはおそらく効果が薄い。ありったけの魔力を注げば拮抗できるかもしれないが、それならば俺が持ちえる最硬の盾で防御した方がまだ受けきれる可能性が高い。
魔力もさっき補充したし、受けきるだけは問題ないだろう。
「―――“偽・螺旋剣”(カラド・ボルク)」
ついに真名の開放と共にアーチャーがその矢を撃ち放つ。その矢は空気を巻き込みつつ切裂き、放物線すら描かずに一直線に俺達へと迫る。
「スサノオ…」
「え?」
俺の呟きにイリヤが声を上げる。
そして爆音。
閃光と爆発の衝撃がエントランスにばら撒かれ、格式高い調度品の数々を破壊していく。
粉塵が収まり視界がクリアになる。
「仕損じたか…」
と、アーチャーはそれほどショックは受けていないようだが、それでも動
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