第一幕その三
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に着けている。黒の長ズボンにブーツをはいている。背は高い方か。彼こそアルトゥーロ=カヴァラドゥッシの弟、マリオ=カヴァラドゥッシその人である。
二人の父はフランス大使をしていた折ディドロやダランベールといった百科全書派の学者達と交流があった。エルヴァシウスの姪孫娘と結婚したのもその縁からであった。
兄は軍人を志したが弟は父の影響か学者を志した。フランスへ留学しパリで哲学を学んでいたが絵に興味を持ち始め当時その絵が大いに話題となっていたダヴィットの元へ弟子入りした。才能があったのかその技量はすぐに師を唸らせるまでになった。独立しすぐに名が売れ始めたがその矢先に両親が急死したとの報が入ってきた。
遺書が残されていなかった為兄と遺産相続を相談する為ローマに帰ったがある個人的な事情の為相続の件について話が着いてもローマに留まり絵を書き続けている。
「マリオ」
声の主を見た。そこには彼が良く知る人がいた。
「兄さん、どうして此処に!?ファルネーゼ宮にいたんじゃ・・・」
「少し御前と話がしたくてな。二人で話したいのだが」
「うん」
マリオは頷くと堂守とゼッナリーノを呼び二人にチップを渡した。
「これで何か美味しいお菓子でも食べに行ってくれ」
二人は喜び一礼した後すぐに教会を後にした。二人が出て行ったのを見届けるとマリオは兄に向き直った。
「何の話かは解かってるよ。スカルピアの事だろう?」
弟の問いに兄は黙って頷いた。
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