第五幕その四
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を見る。二人共何が起こったのかまだ把握しきれておらず呆気に取られている。
「一刻も早くローマを脱出するんだ、さもないと我々は狂った市民達のリンチで皆殺しにされるぞ!」
そうだった。権力を失くした彼等を待つ運命が何なのか、それを本能的に知っていたのだ。
「・・・・・・解かった、行こう」
スキャルオーネとコロメッティに急かされスポレッタ達は屋上から逃げる様に消え去った。最後尾にいたスポレッタが階段に足を入れた時サッと二人の方を振り向いた。
「・・・・・・・・・お元気で」
スポレッタはそう言うと去って行った。後には恋人達が残された。
暫くの間城内の殆どの者が逃げ去ったサン=タンジェロ城は静まり返っていた。だが朝日が姿を現わす時になると城内に喚声が木霊しはじめた。
「カヴァラドゥッシ、無事で良かった」
朝日に輝きはじめたポンテ=サンタンジェロの上でカヴァラドゥッシとアンジェロッティは手を握り締め合った。カヴァラドゥッシの傍らにはトスカがおり三人の周りを共和主義者や青い軍服の将兵達が囲んでいる。
「アンジェロッティ、君こそ。よく生きていてくれた」
二人は再び両手を握り締め合った。強く固く握り合った。
「警官達に追い詰められた時は流石に僕も駄目だと思った。だが奇跡が起こったんだ」
「奇跡?」
「うん。今将に捕らえられようとしたその時彼等が現われたんだ。そして僕を救い出してくれた」
そう言ってフランス軍の将兵達を指し示した。
「彼等を導いてくれていたのはこの方だ。この方こそ僕の命の恩人なんだ」
アンジェロッティに手で指し示された男が前に出て来た。その男の姿を見た時トスカは思わず叫んでしまった。
「貴方は・・・・・・!」
男は悪戯っぽく左目をウィンクした。紅衣のあの男であった。
「どうしたの、フローリア。お知り合いの方なの?」
「いえ・・・・・・」
男が手で紹介されるのを制止したのでトスカは言うのを止めた。何か知ってもらいたくない事情が男にも有るのだろう。
「何でもフランスともこのローマとも所縁の有る方らしいんだ。それで僕を助ける事が出来たらしい」
「成程」
「僕はまたこのローマで領事を務めさせてもらう。今度こそローマを自由と平等が息吹く街にするつもりだ」
「うん、頑張ってくれ。君なら出来る」
カヴァラドゥッシは友に言った。
「そして君はどうするんだい?ローマに残るのかい?それならば一緒に働かないかい」
「そうだね」
トスカの方を見た。自分に対し微笑んでくれている。
「僕はあの絵を完成させてフローリアと一緒にヴェネツィアへ行くよ。予定していた事だしね。それに僕は彼女と何時までも一緒にいたいんだ」
「マリオ・・・・・・・・・!!」
トスカがカヴァラドゥッシの胸に抱きついた。衆人の前であ
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