第一幕その二
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た。トレベリというこの典獄は袖の下に弱く信用の置けぬ人物であったが牢獄の鍵を持っている事から彼を取り込むしか他に無かったのである。
次はアッタヴァンティ侯爵家に嫁いでいる妹マルケサの番だった。兄が脱獄したならすぐにアンジェロッティ家の礼拝堂が有る聖タンドレア=デッラ=ヴァッレ教会に行くよう伝えそこで変装してローマを脱出するよう手配した。無論礼拝堂の中には変装する為の服や小道具を隠しておいた。
二人の手となり足となりアンジェロッティ家の者達は動いた。スカルピアの目を盗みながら主を救出する計画は進められた。
六月十七日、計画は実行に移された。アンジェロッティはサン=タンジェロ城を逃げ出し教会へ向かった。
ドームの中はフラスコ画や豪華な装飾で飾られている。高窓から差し込む光が翳ろうとしている。夕暮れが近付いている。光に照らされている絵画の中にはまだ完成していないものもあり布で覆われている。その下びは絵具や筆等が置かれている。そのすぐ隣に入口がある。木製の大きな扉だ。その扉が少し開いた。外から囚人服を身に纏った男が入って来た。
金色の髪に青い瞳をしている。背は普通位か。汚れてはいるが気品のある整った顔をしている。囚人服はボロボロで所々破れている。肩で息をし何やら震えている。何処からか逃亡してきたようだ。
左右を見回しながら礼拝堂の方へ向かう。礼拝堂の前へ行くと懐から何やら取り出した。
それは鍵だった。鍵で礼拝堂の扉を開けると中へ入っていった。
扉が閉められた。中からガチャリと音がした。
暫くして入口から二人の男が入って来た。一人は白髭を生やした小柄な老人でもう一人は手に籠を下げた若い男である。
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