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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
エピローグ アーネンエルベの夜に
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「《死》や《罪》はどうした?あれは己の束縛から逃れえたのか?」
別段、興味があるわけではないが他に話す事が少ない彼はそれを尋ねる。
「ああ、彼らは己の道を歩んでいるとも。もうすでにその名は返上されてしまった。特に《罪》などはラインハルトと共に歩んでいるぞ」
「フフフ、それはそれは―――中々に興味深い」
和やか、というには彼らの気配は明らかに怪しいが二人にしてみればこれは世間話なのだろう。
「しかしだ……私の望みは君のその手伝いによって叶ったわけだが、君自身の望みは叶ったのかね?」
単純な疑問。メルクリウスにとって友ともいえるであろう彼が自分の為に総てを投げ売ったのではなかろうかと、彼はそう思っていた為にそれを聞く。それに対する答えは―――
「否、だよ。そもそも前提が間違っている。私は願いを叶える為にいたわけじゃないのだから」
そう答えた。
******
「さて、雨も止んだ。そろそろお暇させてもらおう」
そう言ってアグレドは立ち合がり、支払いを済ませた後にアーネンエルベのドアを開けようとする。だが、それを行おうとしたタイミングと同時に新たな客が入ってきたようだ。自然、それを避け、相手に先に入るように促す。
「ちぃーす、アンナ、パシアス。来てやったぞー」
声は若い。見た目も普通の若者だ。だが、その存在は興味深い。
「いらっしゃい、ロートス君。ほらアンナ、彼が来たわよ」
「ロートス!遅いわよ、来るって約束してたじゃない!」
「悪い、悪い。お詫びに何か奢ってやんよ―――」
その声を発している人物の名はロートス。藤井蓮の核となった存在であり、本来ならばいるはずのない人物。だが、総ての歯車は形を変え、回転を繰り返し、有り方を変えた。故に彼は此処にいる。
そして、その声に応えた相手はチップを渡した少女であるパシアス。彼らはこの新世界での友人なのだろう。
「さようなら、メルクリウス、ロートス・ライヒハート。そして、この世界に住む総ての人々よ。俺は心から君たちの生きる道を祝福するよ」
カランとドアを開け、鈴の音を鳴らしながら彼は雨が止んだベルリンの夜風に吹かれ、アーネンエルベを後にすると同時に、彼は粒子となって消え去った。
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