第四幕その一
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死と恐怖で支配せんとする悪霊を倒した。それを讃え時の教皇グレゴリウスがこの墓の上に教会を建てさせたのである。
それからは教会としてこの墓所は知られるようになった。だがローマ教会の勢力が伸張すると共にこの教会も変質していった。
十五世紀になると教皇ニコラス五世が教会の上に煉瓦でもって城壁と塔を構え、城塞とした。ついで前述のアレッサンドロ六世が八角形の堅牢な要塞に仕上げた。先に述べた『ローマ劫掠』の折にも教皇クレメンス七世は秘密の小道からこの城に逃れ難を避けている。またの名を『難攻不落城』という。
城へ続く橋はポンテ=サンタンジェロと呼ばれバロック期のベルリーニの天使像が置かれている。またクレメンス七世はローマ市中が見渡せる城の天辺に自らの部屋を構え後にパウロス三世がこの部屋を『パウロスの間』と名付け豪華なフレスコ画で飾り優美な生活を楽しんだ。
今この城はスカルピア率いる秘密警察の本部となっていた。城内の至る所に黒服の柄の悪い警官達が詰め牢獄には政治犯達が収容されていた。拷問とそれによる呻き声が絶える事は無く絞首台には常に人が架けられ銃声が木霊していた。
その中の一室にスカルピアは執務室を置いていた。机の他に長椅子もある。豪華なシャングリラがあり入って右手は壁で仕切られたバルコニーとなっておりガラスの扉が付いている。また左手の壁には王妃の肖像画が飾られている。
その寝室の中のテーブルでスカルピアは一人遅い夜食を採っている。羊肉の煮込みに野菜のスープとボイルドベジタブル、パンに赤ワインといったメニューである。
フォークとナイフを使い食べる。全て食べ終えワインをもう一本頼もうと思った。
警官二人と給仕頭、そして従僕が控えている。どの者も幼い頃から自分に仕えている者達である。
給仕頭と従僕に酒を頼んだ。同時に警官の一人に聞いた。
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