第15話 後悔ってのはした後で気付くもの
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け、そのままなのはの近くに寄り添っていた。
未だになのはの顔は真っ赤に染まっており、息も先ほど以上に荒くなっている。
もう長くはもたない。それは素人目から見ても明らかな事であった。
「……くしょう……ちくしょう!」
小声ながらも、銀時の声が聞こえてきた。固く握り締めていた両拳の甲が上空から降り注ぐ滴で濡れた。それは、銀時の顔から流れ出ている滴だった。
その銀時の顔はた滝の様に流れ出る涙でグシャグシャになっていた。
「何が、何が父親だよ。何が親父だよ! 結局、こんな時に親父は何もする事が出来ねぇ……只、ただこいつが苦しみながら死んでいくのを黙って見てろってのかよ! 冗談じゃねぇよ!」
大粒の涙を流して泣きながら銀時は苦しみの言葉を放っていた。どうする事も出来ない。幾ら銀時が木刀一本でどんな奴でも倒せる強さであったとしても、どんな強者が相手でも決して折れない魂を持っていたとしても、他人の病までは治せない。
そして、今そんな銀時の目の前で一人の幼い命が消え去ろうとしている。
「御免よ……こんな駄目人間の所に来ちまったせいでこんな辛い目にあっちまうなんてよぉ……どうせなら殿様とかどっかの大富豪にでも拾われりゃぁちったぁ楽しい人生を歩めたんだろうによぉ……」
後悔の言葉を述べながら、そっとなのはの頬に手を触れる。名残惜しそうにそっと、なのはの頬に手を添えた。
その時だった。触れた銀時の手を通じて、銀時の体全体に何かが流れ込んでくるのを感じた。
(な、何だ? 俺の体に何かが流れ込んできやがる! 一体何だこりゃ?)
銀時は動けなかった。その力は明らかになのはから流れ込んでくるのが分かる。
見れば、触れている銀時の手が淡い輝きを放っている。そして、その何かは銀時の体全体の身体機能を活性化させる感覚を覚えた。
やがて、触れていた手の光が消え去る。そっと手を離した銀時はその触れていた手を見る。
気がつけば先ほどまで感じていた体の疲れやだるさが消え去っていた。そして、再びなのはの方を見る。見ればなのはの顔色は良くなっており、寝息も穏やかになっていた。
「お、おいババァ! 見ろよこれ」
「何だってんだい? 怒りにパニくってるんじゃないんだろうねぇ?」
苛立ちながらもお登勢もまたなのはの顔色を見る。そして、その顔色が良くなっているのに気付く。
「お、おい! 一体どうなってんだいこりゃ? さっきまであんな死にそうだったのが嘘みたいに良くなってんじゃないのさ? お前一体何したんだい?」
「知らねぇよ! 俺だって訳分かんねぇんだからよぉ!」
「こりゃ……もう奇跡としか言いようがありませんよ!」
医者も驚いている次第であった。治す手立てが全くないと思っていたのが、突然その
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