第15話 後悔ってのはした後で気付くもの
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銀時が頷いたのとほぼ同時に玄関を叩く音が聞こえた。お登勢はなのはの容態を見るので忙しいので今回は銀時が変わりに玄関に向かい戸を開いた。
「急患があると聞いてきましたが、此処で宜しいですか?」
「おぉ、良いタイミングだ。すぐに来てくれ」
其処に居たのは噂をすればであった。白衣に聴診器、それに診療道具を手に持ったちょんまげ姿の医者が目の前に居た。
すぐさま医者を上げ入れて部屋へと案内する。部屋に入ると相変わらず苦しそうに眠っているなのはとその看病をしているお登勢の姿が目に入る。
「来たんだね。それじゃ、後は頼むよ先生」
「分かりました」
お登勢の居た場所から入れ替わるように医者が座り、診療道具を側に置き、なのはの容態を見る。
額に手を当てたり、脈を計ったり、聴診器を胸に当てたりしていた。その後ろで銀時とお登勢は祈る思いでそれを見守っていた。
時間的には十数分程度経った辺りだろうか。それでも銀時達にとっては数時間の時が過ぎたような錯覚を覚えていた。聴診器を外した医者が踵を返して銀時達の顔を見る。そして、その面持ちはとても暗かった。
「ど、どうなんだい? 治るのかい?」
「残念ですが……こんな容態は始めて見ます」
医者が首を横に振り否定の言葉を述べた。即ち、匙を投げたのだ。この病は自分では治せないと諦めたのである。
「てめぇ、何抜かしてんだゴラァ! 医者だろうが、治せよ! 無理なんて言ってねぇで治せってんだよおい!」
突如形相が強張った銀時が医者の胸倉を掴み上げて睨みつけた。青ざめる医者。しかし、彼が言うようにどうする事も出来ないのだ。医者でもどうしようもない病になのはは掛かってしまったに他ならない。
「無茶言わないでくれ。医者にだって治せない病の一つや二つ位あるんだ! この子は言ってしまえば運が悪かったとしか言いようがないんだよ!」
「てめぇ……それでも医者なのかよ? 治せないってんなら代わりにてめぇをギタギタにして病院にぶち込んだろうかぁゴラァ!」
完全にぶち切れた銀時の右拳が振り上げられる。そのまま医者に向かい固く握り締められた拳を叩き付けるのだろう。
だが、その拳をお登勢が掴み止める。
「ば、ババァ!」
「お止しよ。此処で医者に当り散らしたってしょうがないだろうが」
「だ、だけどよぉ……」
「悲しいかもしんないけどさ……これも江戸の習わしって奴だよ」
そう言うと、お登勢は懐に手を入れ、一本の煙草を手に取り、火をつけてそれを吸った。
まるで、悲しみを誤魔化そうとしているかの様に、お登勢は銀時や医者、そしてなのはから視線を背けながら、煙草をふかしたのだ。
銀時は、もう医者を殴る気などなくなっていた。気がつけば、医者の手を払い除
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