第15話 後悔ってのはした後で気付くもの
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き、やがて完全に消え去ってしまった。
視界を覆っていた光が消えた事を悟り、銀時は目を開く。
目の前には、変わらぬ姿勢のままのなのはが其処に居た。
「お、おい……大丈夫か? なのは」
銀時が声を掛ける。しかし、それに対しなのはは全く反応を示さない。立ち上がり、そっとなのはの肩に手を置く。
グラリッ!
銀時の目の前で微動だにしなかったなのはは、何の抵抗もなくその場に倒れ付してしまった。
「え? お、おい……嘘だろ? おい!」
信じられない光景が其処にあった。信じたくない。認めたくない。
その思いが銀時の脳内を埋め尽くしていた。だが、認めねばならない現実が其処にはある。
まさか、まさか本当に……
銀時は自身の胸の内に芽生えだした不安を払い除ける為にそっとなのはの首筋に手を置いてみた。
脈はあり、体温もある。どうやら死んではいないようだ。ホッとなる。
が、顔色を見るとその安心も消え去ってしまった。
なのはの顔は真っ赤になっている。息も荒くなっているし、額に手を置くと信じられない位の熱さが手に伝わってきた。
明らかにやばい状態だと言うのは分かる。
「くそっ、何だってんだよこれは……まさか?」
全く訳が分からなかった。今まで見たことのない現象でもあったからだ。いや、銀時はこの現象を知っていた。経験した事があるからだ。
***
それは、銀時がなのはを育てる事になってから3年の月日が流れた春先の日の事。
その日の朝、相変わらず元気だった筈のなのはが突如倒れてしまったのだ。
突然の事態に銀時はまともに対応する事など出来ず大慌てとなり、騒ぎを聞きつけたお登勢も駆け付ける程の大事となっていた。
「……」
「お、おいババァ! 大丈夫なのかよ? なのは、死んじまうのかぁ?」
布団に寝かされたなのはの顔は真っ赤だった。息も荒くとても苦しそうに眠っている。
そんななのはの額に当てた水に濡らした布巾を再び濡らして冷たくして被せなおすお登勢に対し、銀時はどうしたら良いのか分からずおろおろする次第であった。
「しゃんとしな! それでも父親かぃ? 情けないったらありゃしないよ」
「うっせぇよ! 今の俺はなぁ……駄目だ、ボケる気にもならねぇ」
普段だったら即興でボケをかます銀時ですら、現状では全くボケられない程深刻な事態であった。
今のなのははまだ3歳と言う幼い子供だ。そんな子供のなのはがこんな深刻な事態に陥ってしまった。
現状のなのはに病に打ち勝てる程の体力があるとは思えない。このままだと最悪の事態すら有りえる。
「それより、医者はちゃんと呼んだんだろうね?」
「あ、あぁ……さっき呼んどいたぜ」
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